軽貨物車両自由化(Q&A)


最終更新日 2023年10月30日



 
令和4年10月24日付、国土交通省自動車局 安全政策課長(国自安第99号)、貨物課長(国自貨第95号)、整備課長(国自整第166号)の3名連名で貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用についてとして、軽貨物車両自由化の通達を各地方運輸局に発信しました。同日に自動車局貨物課より「規制改革実施計画」(令和4年6月7日閣議決定)を踏まえ、軽乗用車についても、貨物軽自動車運送事業の用に供することを可能とする旨のプレスリリースがなされました。これらを踏まえ令和4年10月27日よりマイカーとして使用している軽乗用車を事業用登録することで軽貨物運送を行うことが可能となりました。私たちが所有している軽自動車(軽乗用車)を事業用登録するにあたっての疑問点をQ&A形式でまとめてみましたので、軽貨物運送を検討されている方副業で休日に軽貨物運送を始めてみようと思われている方は、ぜひ参考にしてください。

【目次】

Q1.軽貨物を始める上で注意すべき点は何ですか
Q2.どのような車両が軽貨物運送に使えるのでしょうか
Q3.今までの貨物車の事業用登録と異なるところは何ですか
Q4.ナンバープレートはどのように変わるのでしょうか
Q5.普段の日に買い物などのレジャー用途に使用してもいいのでしょうか
Q6.どれくらいの荷物を積むことができますか
Q7.軽貨物の登録を受けた後は乗用車扱いですか、貨物車扱いですか
Q8.人を乗せてお金をいただくことはできますか
Q9.車両自由化のメリットは何ですか
Q10.税金や車検はどうなりますか
Q11.保険はどうすればいいのでしょうか
Q12.正式に軽貨物の登録をうけているかどうかはどこで証明できるのでしょうか
Q13.貨物車(4ナンバー車)と同じ条件で仕事ができますか
軽貨物を始められる皆様へ

 

Q1.軽貨物を始める上で注意すべき点は何ですか


 
<Answer>
自ら車両を持ち込んで軽貨物運送を行う場合は、アルバイトやパートタイムのように時間給をもらうのではなく、○○個配達した成果に基づいて報酬を得る、請負という形態で働くことになります。いくら時間がかかっても配達ができなければ1円ももらうことはできません。また、受け取る報酬は給与ではなく売上となりますので、受け取った売上から車両の維持費(リース料など)、駐車場代、ガソリン代等、発生した経費を引いた金額が収入となります。会社員のように上司から指示をうけるのではなく、自分自身が元請の運送会社と請負契約を締結するかたちですので、責任はすべて自分がとらなければなりません。報酬を受け取るタイミングについても配達を行った月にもらえるわけではありません。元請運送会社の支払いのタイミングにもよりますが、基本的には翌月の末日に報酬が振り込まれますので、約1か月のタイムラグが発生します。その間にもガソリン代などの必要経費は払わなければなりませんのである程度の運転資金が必要です。
 

 

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Q2.どのような車両が軽貨物運送に使えるのでしょうか


 
<Answer>
軽自動車と呼ばれる排気量660CCの乗用車であれば軽貨物運送の登録をすることができます。ナンバープレートが黄色で(オリンピック仕様の白色を除く)地名の次の数字が5XX(5ナンバー)であれば車種を問わず軽貨物運送の登録を行うことができます。キャンピングカーなどの特殊車両車の8ナンバー車(8XX)は、別途、構造等変更検査に合格することが必要になります。ヴィッツ、アクア(トヨタ)、マーチ、ノート(日産)、FIT(ホンダ)などのコンパクトカーは排気量が1000CC以上で、普通車(小型自動車)扱いになりますので、軽貨物運送の登録をすることができません。
 

 

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Q3.今までの貨物車の事業用登録と異なるところは何ですか

 

 
<Answer>
2022年10月の軽貨物車両自由化以前は、軽乗用車で軽貨物運送の登録を行うためには、リアシートを外すなどして貨物車(4ナンバー)の要件を満たしたうえで、軽自動車検査協会に持ち込んで構造等変更検査に合格しなければなりませんでした。今回の改正で、いわゆる黄色ナンバーを付けている軽自動車であれば、軽貨物運送の登録ができるようになりました。従来の貨物車で登録する場合と、今回からの乗用車から登録する場合の登録のやり方はほとんど変わりません。
 
軽乗用車(マイカー)で軽貨物運送を行う場合は、空き時間を利用した副業で行う方も多く登録するようになるので、従来の宣誓が必要であった①自動車車庫の使用権限、②自動車車庫の都市計画法へ抵触しないこと、に加えて貨物の運送に関し支払うことのある損害賠償の支払い能力を有することという項目が追加になりました。
 
この項目は、貨物車・乗用車に関係なく新しく追加された項目です。軽貨物運送を始めるのであれば、貨物を破損してしまった場合に備えて運送保険に加入しておかなければなりません。
 

 

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Q4.ナンバープレートはどのように変わるのでしょうか


 
<Answer>
下記のように軽自動車は、黄色ナンバーと呼ばれる黄色のナンバープレートを付けています。このナンバープレートには5ナンバー(5XX)と呼ばれる乗用車と4ナンバー(4XX)と呼ばれる貨物車があります。私たちがマイカーとして利用している軽自動車はほとんどが乗用の5ナンバーになります。

 
この5ナンバー車を軽貨物登録することによって、今までの自家用の黄色ナンバー事業用の黒ナンバーに変わります。オリンピック用の白色のナンバープレートを付けている方であっても、事業用の黒ナンバーに変わります。また、ナンバープレートが黄色から黒に変わる際にナンバープレートの番号も変更になります。自家用車であれば希望ナンバー制度や地方図柄入りナンバープレートは貨物用の黒ナンバーにはありません。軽貨物車だから黒の4ナンバーに変わるのではないか?と思われるかもしれませんが、今回の制度改定では、乗用車(5ナンバー)で軽貨物の届出を行った場合は、すべて黒の5ナンバーになります。

 

 

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Q5.普段の日に買い物などのレジャー用途に使用してもいいのでしょうか


 
<Answer>
全く問題ありません。国の方針としても宅配を中心としたドライバー不足の解消の方策として、主婦や大学生、会社員の副業として余った時間に軽貨物ドライバーをしてもらおうとしています。がっつりフルタイムで軽貨物ドライバーをやりたい方は軽貨物車(軽バン)を購入もしくはリースされます。軽乗用車で軽貨物ドライバーを行う方はほとんどが、普段は買い物やレジャーに使用して余った時間で軽貨物を行うといった車両の使用方法になると予想されます。
 

 

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Q6.どれくらいの荷物を積むことができますか


 
<Answer>
軽自動車の乗用車の場合は、貨物車と異なり最大積載量の概念がなく、車検証の最大積載量の欄には「-」の表示があります。ただし、軽自動車の乗用車は4人乗りで1人55kgで計算されますので、人間は55kgx4人分=220kgを目安として乗車することができます。軽貨物運送を行うために事業用に変更した場合には、この基準が適用され、220kgのうち、運転手1人分の55kgを引いた220kg-55kg=165kg
の貨物を積載することができるとされています。事業用に変更した場合でも乗用車の場合は、車検証の最大積載量の欄には「-」の表示となります。一方、軽自動車の貨物車は自家用であっても事業用であっても350kgまで積載することができ、車検証の最大積載量の欄には350kgと記載されています。飲料水などの特別重い商品を配達する場合は、別ですが、ほとんどの商品の場合は、容積勝ち(重さよりも容積が重視される)ですので、ワゴン車に満載の商品を積んだ場合でも100kgに満たない場合が多いです。最大積載量よりも積載スぺースの大きいワゴンタイプで車高の高い車種を選定するようにしましょう。乗用車の5ナンバーでの軽貨物運送は、短時間の配送を想定していますので、法律はOKでも、165kgの積載では認められない場合もあります。特に、月極めや1日チャーター扱いの配送については、事前に元請運送事業者に確認をしておくことをおすすめします。
 

 

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Q7.軽貨物の登録を受けた後は乗用車扱いですか、貨物車扱いですか

 

 
<Answer>
車検証の用途欄には、乗用と記載されます。自家用・事業用の別の欄は、黄色ナンバーから黒ナンバーに変わりますので、自家用から事業用に変わります。その他、乗車定員や最大積載量の記載は、自家用、事業用ともに同じ表記になります。
 

 

 

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Q8.人を乗せてお金をいただくことはできますか


 
<Answer>
あくまでも軽貨物運送の登録を行っているだけですので、旅客運送はできません。事業用(黒ナンバー)の乗用車(5ナンバー車)ですので、車いすを乗せる福祉車両車(有償での旅客輸送)と混同しないように車検証の備考欄に貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車と記載されます。この表記が車検証に記載されている場合は、貨物運送のみに使用される車両で旅客運送を行うことはできません。
 

 

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9.車両自由化のメリットは何ですか


 
<Answer>
ラストワンマイルを担う軽貨物運送業界はインターネットショッピングやメルカリ、ヤフオクなどの個人間売買の激増により宅配貨物の取扱い高が年々増えているため慢性的なドライバー不足に悩まされています。今回、主婦層、大学生、会社員の副業層が軽貨物運送を新たに始められることによりドライバー不足が期待されます。物流業界の2024年問題で社員の時間外労働時間が規制される中、日中の配送を社員が行い夜間配送を外注の軽貨物ドライバーに業務委託するなど、シフトを組むことができるようになります。
 
また、私たち軽貨物運送へ参入する側のメリットとしては、①軽自動車であればどんな車でも軽貨物運送ができるため、わざわざ車を買うことなく、今、所有している車で始めることができます。②新型コロナウイルスの影響や半導体不足のため軽バンが調達できず、事業開始までの待ち期間がなくなります。③マイカーでできるため軽貨物で空き時間を利用した短時間の仕事や副業がしやすくなることが挙げられます。
 

 

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Q10.税金や車検はどうなりますか


 
<Answer>
①軽自動車の自動車税額は、下記の表のとおり、自家用から事業用に変更になることにより年間10,800円から6,900円へと若干安くなります。また、新規登録後13年超の車両に対しては、年間12,900円から8,200円となります。(平成27年4月1日以降の新規登録の場合)
 

 
②軽自動車の車検の期間は、自家用の乗用車の場合は、初回車検のみ新規登録後3年後になりますが、事業用登録に変更した場合は、新規登録から2年後に車検を行わなければなりません。2回め以降の車検については、自家用・事業用にかかわらず2年ごとに車検をうけることになります。
 

 

 

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Q11.保険はどうすればいいのでしょうか


 
<Answer>
①車を運転中の人身事故、物損事故に備えて自賠責保険及び任意保険に加入しなければなりません。任意保険は自家用に比べて事業用はかなり割高になります。また運転者年齢条件の割引や、会社でまとめて契約している自家用任意保険の大口割引を適用することはできません。任意保険の加入方法については、軽貨物運送登録時に当事務所で適切な加入方法のアドバイスを行っていますので、ご相談いただけますようお願いします。
 
②配送している貨物を破損させた場合に備えて運送業者貨物賠償責任保険に加入しておかなければなりません。チャーター便などで扱う荷物が高額な場合は、その荷物の金額の補償に充当できる貨物保険に加入します。宅配貨物を扱う場合は、荷物の破損、紛失、盗難、水濡れなどに備えて少なくとも最低ラインの保険には加入しておかなければなりません。少額の破損などの場合には、保険料が高くなるため保険求償せずに自分で補償する場合もあります。
 

 

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Q12.正式に軽貨物の登録をうけているかどうかはどこで証明できるのでしょうか

 
<Answer>
軽貨物運送登録を行い、事業用ナンバー(黒ナンバー)を付けた場合は、車検証の備考欄に貨物軽自動車運送事業の用に供する自動車と記載されています。この車検証が法律に基づいて軽貨物運送の登録を行っていることを証する書類となります。元請の運送事業者には軽貨物運送ができる書類として車検証のコピーを提出しなければなりません。また、検問や職務質問で止められた場合にも車検証を見せて無許可で行っていないことを説明しなければなりません。
 

 

 

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Q13.貨物車(4ナンバー車)と同じ条件で仕事ができますか


 
<Answer>
アマゾンフレックスでは2022年12月現在、荷室の大きさが長さ・幅・高さの合計が4000mm、最大積載量が350kgと定められています。 エブリイワゴン(スズキ)の場合は、長さ(2240mm)+幅(1355mm)+高さ(1420mm)=5015mmとクリアできますが、最大積載量は他のメーカーのワゴン車(5ナンバー車、乗用車)も含めて最大積載量が165kgになっていますので、アマゾンフレックスの登録をすることはできません。 ⇒現在では、車高1700mm以上、後部座席を倒せることができるワゴン車(5ナンバー車、乗用車)はステーション限定、時間帯限定でアマゾンフレックスができるようになっています。他の大手軽貨物運送会社は、登録可能ですがチャーター便では客からの貨物重量がわからない段階で仕事を振り分けるので貨物車(4ナンバー車)から優先的に仕事を渡していく。とのコメントでした。今後、制度改定があるかもしれませんが、いまのところワゴン車(5ナンバー車、乗用車)はフードデリバリーが主な仕事となりそうです。
 

 

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軽貨物を始められる皆様へ


 
インターネット通販や、ヤフオク、メルカリなどの個人間売買の拡大で宅配便を含む軽貨物業界はますます伸びていくと考えられます。運送業の一番のメリットは、単発仕事で終わるのではなく、一度、宅配やチャーター便の案件をいただくと、継続して仕事をすることができ、安定した売上につながります。もちろん継続した仕事をいただくためには、安全運転と運転マナーを守ること、配送の品質を上げていくことを行わなければなりません。例えば、病院や福祉施設、子供が頻繁に往来する場所や他人の駐車場入口の前には駐車しない、箱が壊れていたらお客様に謝罪をしたうえで、持ってかえる。など、基本的なことを行っておれば元請運送事業者から仕事を切られることはほとんどありません。最初は、空き時間の副業から始めても、がっつりと専業で稼ぐかたちで始めても、ラストワンマイルを担う軽貨物ドライバーが1人でも多く増えていってほしいと思っています。
 

 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。