①物流情報(貨物運送)

【運送業専門の行政書士監修】軽貨物運送を始めるにあたっての14の注意事項


最終更新日 2024年7月7日


軽貨物をはじめるにあたっての14の注意事項
軽自動車のバン車両を準備して、運輸支局に貨物軽自動車運送事業の届出を提出されて、これから軽貨物運送を始めようとされている皆様に、運送業専門の行政書士から注意すべき14の事項をアドバイスさせていただきます。事業用の黒ナンバーを付けたということは、国から軽貨物運送の営業許可を与えられたという位置づけになります。堂々と軽貨物運送ができるお墨付きをもらった反面、貨物自動車運送事業法を始めたとした多くの法律を遵守する義務を負います。仮に知らなかったとしても法律に違反する行為を行った場合、行政処分の対象になったり罰金等の刑事罰を科されたりします。また、運送業を拡大したいと思っていても過去の違反履歴があった場合には、欠格事由に該当し新たな運送事業ができない可能性もあります。そこで軽貨物運送を行うにあたって、最低限遵守すべき内容を解説していきます。
 

無許可営業の禁止

1.無許可営業の禁止

営業許可を与えられたのは、軽貨物運送であってそれ以外の行為を行ってはいけません。
有償で人を乗せるいわゆるタクシー営業行為を行ってはいけません。
②事業用の黒ナンバーをつけていない車両(自家用の黄色ナンバー)で軽貨物運送を行ってはいけません。仕事が増えて1台の車両で運びきれない場合は、増車の手続をとって新しい車両を事業用ナンバーに変更します。
 

 

 

車両改造の禁止

2.車両改造の禁止

車検に通らない(保安基準に適合しない)ような車両の改造を行ってはいけません。
エアロパーツの装着、ヘッドライトの色や反射板の装着位置については専門の整備業者と相談して車検に通らない改造はしないように注意してください。
 

 

 

飲酒運転の防止

3.飲酒運転、過労運転の防止

①酒気を帯びて自動車に乗務したり、運転者(雇用しているドライバー)に乗務させてはいけません。道路交通法では、呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.15mg以上が酒気帯び運転とされていますが、軽貨物運送を行う場合は、これ以下の数値であっても運転してはいけないことを覚えておいてください。
②疾病・疲労・睡眠不足等により安全な運転が出来ない恐れがある場合は、自動車に乗務したり運転者(雇用しているドライバー)に乗務させてはいけません。
 

 

 

4.過積載の防止

過積載の防止
軽貨物自動車の最大積載量は350kg です。これ以上の貨物を載せることは過積載となります。350kg以下であっても重量物を軽自動車の後方部にまとめて積むことで前方が浮いて車体が斜めになってしまうので走行が危険です。貨物の一部を助手席に積むなどして分散させましょう。軽乗用車(いわゆる5ナンバー)で事業用ナンバーを取得している場合は、最大積載量が165kgとなり重量物がほとんど積めなくなるので注意してください。
また、走行中に貨物が落下しないようにネットやロープ等で落下防止の措置をとらなければなりません。
 

 

 

5.運転者の点呼

点呼記録簿②
これから乗務を開始するに対して乗務前と乗務後に点呼を行わなければなりません。事業主自らが乗務する場合にも点呼が必要です。

点呼の種類

確認すること

乗務前 酒気帯びの有無、②疾病・疲労・睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無、③日常点検の実施確認
乗務後 ①事業用自動車、道路及び通行の状況確認、②酒気帯びの有無、③運転手を途中で交代した場合はその確認

 

 

 

6.事業用軽貨物自動車の点検整備

事業用自動車の点検整備
①事業用軽貨物自動車の日常点検を乗務前に都度行います。
②事業用軽貨物自動車は、車検の期間が2年ごとですのでこの車検にあわせて法定点検をうけます。また、車検と車検の間にも12カ月法定点検が必要ですので、定期点検整備を必ず行うようにしてください。
 

 

 

7.公衆の利便を阻害する行為の禁止

荷主に対し不当な運送条件によることを求めたり、その他公衆の利便の阻害となる行為を行なってはいけません。特定の荷主に対して不当に高い運賃や料金を求めたりする(いわゆるボッタクリ)行為をしてはならないということです。
 

 

 

8.事業内容が変更になったときは適切に届出を行ってください

事前に届出が必要な場合
・事業者の氏名(会社名)
・住所、営業所の位置
・車庫の位置及び収容能力
・事業用自動車の数及び種別の変更
発生後遅滞なく届出が必要な場合
・運賃料金の変更
・事業の廃止、譲渡、合併
・事業主が死亡した場合
 

 

 

9.整備管理者の選任

整備管理者の選任
10台以上の事業用軽自動車を保有する場合は、整備管理者を選任して運輸支局に届け出てください。
 

 

 

10.安全運転管理者の選任

安全運転管理者の選任
5台以上の自動車を保有する場合は、安全運転管理者を選任し府県の公安委員会にに届け出てください。
 

 

 

11.運転者に対する指導及び監督

運転者に対する指導及び監督
①国土交通大臣の告示に基づき運転者に対して適切な指導及び監督を実施してください。
②指導及び監督の内容を記録し、記録は3年間の保存してください。
どのような指導を行ったらよいかわからない事業者の方に対して当事務所が有償で運転者の教育を行っております。運転者教育ツールも充実していますのでお問い合わせください。
 

 

 

12.保険等への加入

保険等への加入
①運転者を雇用する場合は、加入義務のある社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)に加入してください。
②十分な損害賠償能力を有する一般自動車損害保険(任意保険)に加入してください。
③運行中に荷主の貨物を破損させた場合に備えて運送業者貨物賠償責任保険に加入してください。
 

 

 

13.自動車の車体表示

自動車の外側に使用者氏名、名称等を見やすいように表示してください。
①文字の大きさは、縦横5センチメートル以上です。
②文字の色は、車両の色彩と反対色又は反対色に近いものを使用します。
③文字は、ペンキ、ステッカー等により表示し容易に消去することが出来ない印字でなければなりません。
※マグネットシートを貼付することも認められています。
社名もしくは事業者名を車体表示
 

 

 

14.運送約款及び運賃・料金の掲示

約款掲示
①標準貨物軽自動車運送約款、標準貨物軽自動車引越約款に従って事業を行ってください。
②運送約款及び運賃・料金を営業所の見やすい位置に掲示するもしくは自社のウエブサイト上に掲載してください。
※令和6年よりウエブサイト上に掲載のみでも可能となりました。
 

 

 
以上、軽貨物運送を始めるにあたって遵守しなければならない14の項目について説明していきました。日常の業務の際に使用する点呼の様式や運転日報の作成要領など、開業して間もない方にとってはわからないことだらけです。
当事務所は、運送業の許認可や経営サポートを手がける運輸・物流専門の行政書士事務所です。代表は、運送業界で20年以上法務を担当し、運送業の経営にも精通しており、運行管理者免許も所持しています。当事務所では、点呼や運転日報、教育記録簿、日常点検シートなど各種帳票類をお渡ししています。軽貨物運送の経営や業務の運営でわからないことがでてきましたら有償対応となりますが、ぜひ、お問い合わせください。貴社の経営が順調にステップアップするように併走させていただきます。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。