
2025年4月に改正された貨物自動車運送事業法および物流総合効率化法のポイント、さらに運送業更新制や適正原価制度などを柱とするいわゆるトラック新法について、東京と大阪に拠点を置く大手物流会社2社にて、社内セミナーの講師を務めました。
制度改正の背景と重要性
近年、トラックドライバーの長時間労働や人手不足が社会問題化し、2024年4月の働き方改革関連法(時間外労働上限規制)適用を受け、物流業界は抜本的な構造転換を迫られています。 これを踏まえ、2025年4月には貨物自動車運送事業法と物流総合効率化法が改正され、さらに運送業更新制や適正原価制度を盛り込んだ新たな枠組みが導入されました。これらは単なる制度変更ではなく、運送事業者の経営モデルや荷主との取引関係に直接影響を与える重大な転換点です
セミナーで扱った主なテーマ
今回のセミナーでは、法令の条文解説にとどまらず、現場で即実践できる対応策や留意点に重点を置き、以下の内容を中心にお話ししました。
①貨物自動車運送事業法改正の概要
②更新制導入に伴う許可の有効期間と更新申請の流れ
③運行管理・整備管理・安全管理体制の評価基準
④物流総合効率化法改正のポイント
⑤トラック新法における適正原価
制度当日の講義では、以下のポイントを中心に解説しました。
参加者の反応と気付き
参加者からは、次のような感想や質問が寄せられました。
「更新制の審査で何が評価されるのか、実務レベルで理解できた」
「適正原価をどう社内計算に落とし込み、荷主交渉に使うかのイメージが持てた」
「物流効率化法の改正が、施設計画や拠点戦略に直結することが分かった」
特に、制度改正の条文だけでは見えにくい行政運用の傾向や他社事例を交えた説明が、実務担当者だけでなく経営層からも高く評価されました。
セミナーの意義と今後の支援
今回の社内セミナーは、制度改正の周知だけでなく、各社の現場オペレーションや経営戦略に直結する実行可能なアクションプランを示す場となりました。
更新制や適正原価制度は、単なる規制強化ではなく、事業の健全性や収益性を高めるための契機でもあります。
今後も当事務所では、制度改正を攻めの経営に変えるためのサポートを継続し、運送事業者と荷主企業の双方にとって持続可能な物流の実現を支援してまいります。
貨物自動車運送事業法、物流総合効率化法、適正原価制度、更新制などに関する詳細なご相談や社内研修のご依頼は、当事務所までお問い合わせください。
セミナー終了後のアンケートでは、多くの参加者から以下のような声をいただきました。
「制度の概要は知っていたが、改正の背景や具体的な対応方法まで理解できたのは初めてだった」
「荷主側・運送側の双方の視点で説明があったため、自社の立場で何をすべきかが明確になった」
「契約書面や取引条件の改善にすぐ着手する必要性を強く感じた」
登壇の意義と今後の展望
今回のセミナーは、荷主・運送事業者双方に対し制度を知っているだけでは不十分であることをお伝えする貴重な機会となりました。物流下請法は、単なる法令遵守の問題にとどまらず、物流の効率化や取引の健全化を通じて企業価値を高めるための重要なツールです。改正施行までの残り期間でどれだけ早く対応に着手できるかが、企業の競争力に直結します。