③物流情報(コンプライアンス)

トラックGメン 2社に対して初の是正勧告


最終更新日 2024年2月4日


レッドカードイエローカード
2023年7月に発足したトラックGメンは、11月・12月を監視集中月間として多くの荷主や元請運送事業者を訪問し、その実態を調査していました。国土交通省が1月26日に発表したデータによりますと、要請が164件、働きかけが47件と前年の8月から10月の3か月の要請件数6件に比べて多くの荷主企業、元請運送事業者が違反原因行為と行っているとしてトラックGメンから指導を受けています。また、今回の監視集中月間では、今まで一度もなかったより厳しい是正勧告が2件、発動されており国土交通省より社名公表もされています。
トラックGメン初の是正勧告①
元々、トラックGメンは、既に運用され大きな実績を上げている下請Gメンを真似て創設された制度ですので、勧告、要請についても下請法の制度に準じて行われています。下請法では、下請法違反が認められる事業者に対して公正取引委員会が立ち入り検査を行い、軽微な違反事項があった場合は指導、違反行為があった場合には勧告が行われます。勧告が行われた場合には社名が公表されすぐさま改善をおこなわなければなりません。
トラックGメン初の是正勧告②
今回、是正勧告が行われた2社については、令和4年の時点で国土交通省から改善の要請があったにも関わらず、1年以上たっても改善がされていなかったという点が指摘されています。荷主である王子マテリアは令和4年11月に長時間の荷待ちを指摘されていましたが、改善が図られておらず今回、長時間の荷待ちにおいて是正勧告を受けました。元請運送事業者であるヤマト運輸は、令和4年8月に過積載運行を指示したとして改善の要請をうけていました。過積載運行の指示が改善されていないばかりでなく、長時間の荷待ち、契約にない附帯業務、運賃・料金の不当な据置き、大雨などの天候不良でも運送を強要するなどの行為を行っていたとして計5項目で是正勧告が行われました。ヤマト運輸は、国土交通省からの勧告を真摯に受け止め、再発防止に向けた取り組みを確実に実施し、関係者の皆さまからの信頼回復に努めてまいります。とコメントされています。
宅配の男女
我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で閣議決定された内容に基づき、これから荷主や元請運送事業者に対する締め付けが大変厳しくなっていきます。コンプライアンスが大変厳しい時代になっていますのでそれをきっちり守っていかないとすべての荷主企業や元請運送事業者が今回のような是正勧告を受けることになってしまいます。今回のケースのように1度指摘された要請の内容を改善できていない場合に是正勧告が行われ、社名公表もされますので企業の信用失墜につながります。荷主企業は、物流コンプライアンスの実務経験のあるプロをコンサルにつけるのか、顧問につけるのか、役員にいれるのかといった会社運営を行い目先の利益よりも法律を優先させる経営をやっていかないと生き残れない時代になってきています。

お知らせ


お知らせ④
当事務所は、荷主企業での経験、物流会社での経験を生かした運輸・物流専門の行政書士事務所です。荷主や元請運送事業者が法律に基づいた適正な業務運営を行い、トラックGメンから指摘をうけることがないようにアドバイスを行っています。2024年の法改正を迎えて、トラックGメンの対応をどのようにしたらいいかわからない荷主企業の皆様はぜひ、ご相談をください。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。