⑤コラム

【コラム】2024年問題は宅配の問題ではない


最終更新日 2024年6月18日



2022年11月11日に行われた、国土交通省、経済産業省が主催する持続可能な物流の実現に向けた検討会の第3回検討会でNX総研(旧日通総研)が2030年には物流全体の34.1%(9.4億トン)が運べなくなる、といったデータが公表されました。この数字がマスコミの至るところで取り上げられて、数字が独り歩きしています。この数字を聞いて不安になる方が多くおられるかと思いますが、あくまでも何も対策をとらなかった場合のことをいっているのであって、これが現実に物流業界あげて全力で取り組んでおられます。
2024年問題は、アマゾンや楽天の荷物が届かないといった宅配と関連してマスコミが報じることが多かったのですが、宅配はトン数ベースで物流全体の7%程度であり、2024年問題で一番影響を受けるのがBtoBの企業間物流が滞ることになります。倉庫からラストワンマイルの宅配便が影響をうけて翌日届かなくなるのが大きな問題ではなく、原材料を運べなくなるので工場が商品がつくれなくなる、つくった商品を売り手の倉庫まで運べなくなるといったことが一番大きな問題だということを意識しなければなりません。
2024年になると、ドライバーの時間外労働時間を年間960時間までに減らさなければなりません。ドライバーの時間外労働時間が減っても賃金収入を維持していかなければならないと必然的に運賃を上げることになります。よく、運送費が上がる可能性があるといわれますが、可能性があるのではなくて、現実的に上がると思っておかなければなりません。宅配便業界がこぞって値上げをしましたが、BtoBの運送費が本格的に値上げできないとドライバーの賃金はあがってきません。
経営にインパクトがあるくらいに物流費があがっているといわれるのは、貿易の海上運賃や航空運賃で国内のトラック輸送の運賃は燃料費の高騰を除くと、数%程度しか値上げがされていません。スーパーの食品や家電量販店の電化製品がひととおり値上げされて製造業で吸収でき、それが運送業に価格転嫁されて始めて、ドライバーの賃金が上がることになります。
小売価格が値上げされているとはいえ、今の段階では原材料高騰による価格転嫁と大手の製造業、流通業の経営改善、賃上げの段階です。これがさらに進んで中小運送会社の経営改善、ドライバーの賃金アップまでいくのは、もう少し先になります。
ただ、この改善を根気よく進めていかないとドライバーの離職、ドライバー不足が引き金となって、NX総研の試算のように34.1%の商品が運べなくなることが現実味を帯びてきます。物流業界のみならず、常態化している荷待ち時間の削減や無償で提供している陳列や棚入れ、ラベル貼りといった役務適用にも対価を払うようにしていかなければなりません。
普段、物流に携わっていないかたは、どうしても宅配の問題に目が行きがちですが、90%以上をしめるBtoBの改善こそが2024年問題をソフトランディングできる最大の課題です。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。