
2025年9月、近畿運輸局より都市型ハイヤー事業者に対して緊急コンプライアンス調査が実施され、事業者の皆さまは9月26日を提出期限として詳細な報告書の提出を求められました。突然の対応に追われた皆さま、本当にお疲れさまでした。
今回の調査票は、営業収入・輸送人員、運行管理者や運転者の雇用関係、社会保険の加入状況など、極めて具体的な資料の提出を求める内容でした。これは単なる形式的な報告ではなく、事業の実態とコンプライアンス状況を直接確認する意図が明確に表れています。
1.なぜ今「緊急調査」が行われたのか

近年、都市型ハイヤーは急速に市場を拡大してきましたが、その一方で運行管理者が名義貸しになっていないか、運転者が正しく雇用・社会保険に加入しているのかといったコンプライアンス上の問題が指摘されてきました。
特に、
- 実態のない運行管理者の配置
- アルバイトや業務委託ドライバーを使った運行
- 社会保険未加入による法令違反
といった事例が相次ぎ、国土交通省・近畿運輸局としても一斉点検を行わざるを得ない状況に至ったと考えられます。
2.今後の行政の動き

今回の調査は入り口に過ぎません。提出された資料を精査したうえで、以下の流れが想定されます。
- 不備の多い事業者は重点監査へ移行
書類に矛盾や不備があれば、運輸局は監査に入ります。 - 社会保険未加入が判明すれば行政処分の対象
是正勧告や事業停止といった厳しい措置に直結します。 - 適正運営の徹底が業界全体の必須条件に
行政は、今後さらにハイヤー業界全体に対する監視を強めていく方針です。
3.事業者として取り組むべきこと

都市型ハイヤー事業者が今後も安定的に事業を継続するためには、以下の点が欠かせません。
- 運行管理者と運転者の雇用契約の明文化と整備
- 給与明細や社会保険加入状況を証明できる体制
- 運転者台帳・点呼簿・運行記録の整備
- 監査が入っても即時に提示できる内部管理体制の構築
これらは単なる書類準備ではなく、日々の運営そのものを正しく行っている証拠を残す作業です。
4.当事務所ができる支援

私たちは運送・旅客分野に特化した行政書士事務所として、今回のような緊急調査や今後の監査に備え、顧問契約による継続的なコンプライアンス体制の構築サポートをご提供しています。
行政からの調査や監査は突然行われます。いざという時に慌てないためには、日頃から体制を整えておくことが最善の対策です。
都市型ハイヤー事業は今後も需要が拡大する一方で、行政の監視は確実に強化されていきます。今回の緊急調査はその象徴的な第一歩です。
法令に基づいた業務運営を行い、事業を成長させていくために何をすべきか
この問いに対する答えは、コンプライアンスを経営の最優先事項に据えることです。
どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。