軽貨物車両自由化(2022年10月開始)


最終更新日 2024年7月1日



 
新型コロナウイルスの巣ごもり需要の拡大で,宅配便の扱い個数はどんどん伸びていっています。2010年の宅配便扱い個数が32億個であったのがこの10年間で1家に1台のパソコンでのインターネットショッピングから1人1台のスマホでのインターネットショッピングに移行していきました。これに加えて外出できない制限が加わったため2019年43億個、2020年48億個、2021年49億個と、取扱い物量が毎年増え続けています。
 
トラック運転手が慢性的に不足している中、宅配業界がこれだけ伸長していると、通常のBtoBのドライバーから宅配ドライバーへのシフトが起こると、工場で製造された商品が運べなくなってしまいます。
 
これでは、物流インフラが維持できないとして、国やトラック協会などの業界団体が声をあげてトラックドライバーへの新規参入者を増やそうと努力しています。
 

【目次】

1.アマゾンの配送センター
2.自動運転
3.フードデリバリー業界からの要望
4.中古の軽バンの不足
5.自家用車で軽貨物運送
6.軽自動車 乗用と貨物の違い
7.パブリックコメント
8.車両自由化のメリット
9.車両自由化によるデメリット
10.週末副業が増える
11.貨物車(4ナンバー車)と同じ条件で仕事ができるか
おわりに

 

1.アマゾンの配送センター


 
インターネットショッピングの世界での最大手企業(中国のアリババについで世界2位)といえばアマゾンです。日本でも2000年11月に日本に進出し、わずか20年で売上高2.2兆円(2020年1-12月)、受注から梱包、出荷、お客様対応まで行うフルフィルメントセンター(FC)が全国に22カ所、配送拠点であるデリバリーステーションを30拠点から2022年にはさらに18拠点を新設するとしています。
 
ラストワンマイルと呼ばれる軽自動車での配達の伸びだけでなく、フルフィルメントセンター(FC)からデリバリーステーションへの大型トラックでの配送も新たに生まれてきているので、より多くのトラックドライバーを確保しない限り、どこかを犠牲にしないと配送維持ができなくなってしまいます。
 

 

・目次に戻る

 

2.自動運転

 

 
自動運転については、さまざまなメディアでとりあげられていますので、詳しくは延べませんが、2022年現在、日本はレベル1~2のADAS(先進運転支援システム)を高速道路で対応できる機能を市販車に付けて販売されています。
 
運転席にドライバーが乗車しない完全自動運転のレベル4~5に達するには、まだ時間がかかります。まず、高速道路の長距離が自動運転化され、狭いエリア内を走るカートのような自動運転車がラストワンマイルを担うことになります。長距離とラストワンマイルをつなぐ配送形態が最後まで有人運転が残ってしまう形態として残ります。
 
近未来に自動運転は、部分的には実現できているが、ドライバーを有しながら並行して自動運転を組み合わせていくかたちになろうかと思います。
 

 

 

・目次に戻る

 

3.フードデリバリー業界からの要望


 
フードデリバリーサービスというと、Uber Eatsや出前館をイメージされますが、形態としては、①前出の調理済みの料理を配達するサービス、②ネットスーパーなどの肉・魚・野菜などの食材を配達するサービス、③温めるなど最終的な調理が必要な冷凍食品、レトルト食品を配送するサービスの3種類があります。
 
これらの業界でも特に①の調理済の料理配送サービスは、自転車や原付自転車を利用して配送する形態が多く、雨の日や積雪地域での冬場配送は配達員が不足するので、軽自動車での配達の規制緩和を要望していました。
 

 

・目次に戻る

 

4.中古軽バンの不足


 
新型コロナウイルスの影響をうけて世界的に半導体不足、海上輸送の停滞をうけて自動車の生産が減産されています。軽自動車大手スズキの2021年度 国内生産台数は約84万台と前年比90.3%、ダイハツの国内生産台数は約84万台と前年比91.6%と前年に比べて生産台数が大きく減っています。生産台数減少に対して、AmazonやUbar Eatsといった配送業務に携わる人数が増え軽バンを購入したいという需要は増加しています。新車が購入できないため、中古車市場でも軽バンが品薄になっており、軽貨物輸送を始めたくても車両が調達できないから始めることができないといった状況になっています。
 

 

・目次に戻る

 

5.自家用車で軽貨物運送


 
業務委託契約の個人ドライバーに関して雇用関係にあるとして労働基準監督署是正勧告を行ったり、個人配達員が他人のIDカードを使用して勤務時間を改ざんするなど、軽貨物ドライバーの過重労働・長時間労働が社会問題化する中、軽貨物運送のドライバーが慢性的に不足している状況を改善するために国土交通省も動き出しました。これが、2022年10月から実施された軽貨物運送の車両自由化です。現在、買い物用途として自宅で使用している軽自動車の乗用車(ワゴンタイプ、ハッチバックタイプ)であっても、運輸局に登録を完了すれば事業用として軽貨物の運送ができるようになりました。事業用登録を行った時点で自家用の黄色ナンバーから事業用の黒ナンバーに変更となります。
 

 
今までは、車検証の用途欄に貨物と記載されていなければ軽貨物の事業を行うことができる事業用ナンバー(黒ナンバー)の取得ができませんでした。そのため乗用車で軽貨物運送を行うためには、後部座席を外すなどの改造を行った後、軽自動車検査協会に車を持ち込んで構造等変更検査に合格することによって用途を乗用から貨物に変更しなければなりませんでした。
 

 

・目次に戻る

 

6.軽自動車 乗用と貨物の違い

 

 
軽自動車の貨物仕様車は、荷物を運ぶトラックとしての用途ですので、貨物車としての機能を重視しています。乗用のワゴン車では標準装備となっている後部座席の電動スライドドアは、軽貨物車のバンでは手動での開閉スライドドアになります。軽バンの場合は、一応、乗車定員は最大4人になっていますが、そもそも4人乗車することがほとんどないため、後部座席を倒して貨物スペース(荷室)にしています。そのためほとんど使用することのない後部座席は簡素なベンチシートになっています。
 

 
また、軽の乗用車であれば標準装備されつつある自動ブレーキ、車線逸脱警報、誤発信抑制、ふらつき検知、衝突回避支援システムなどの安全装備も軽貨物車では、まだまだ装備されていない機能もあります。
 
軽貨物車は荷物を運ぶことを目的としているため装備が最低限に留めており、新車での車両本体価格が安く軽乗用車のワゴンタイプと比べて50万円程度安く購入することができます。また、中古価格も下がりにくくなっています。
 

 

・目次に戻る

 

7.パブリックコメント


 
国土交通省では、令和4年8月9日から令和4年9月8日まで、「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について(概要)」についてパブリックコメントを実施し、意見を募集しました。合計25件のコメントがあり、意見の中には、①法令の周知、監査・指導などを徹底4件、②過積載取り締まり強化 2件、③損害賠償の支払い能力の義務化 2件、④無認可での軽貨物運送防止 2件など車両規制緩和に伴う軽貨物運送事業への法令遵守・指導の強化を求める声がありましたが、国土交通省は対応可能と判断して、今回の車両自由化に踏み切りました。
 

 

・目次に戻る

 

8.車両自由化のメリット


 
今回の車両自由化によるメリットとしては、①軽自動車であればどんな車でも軽貨物運送ができるため、わざわざ車を買うことなく、今、所有している車で始めることができます。②参入障壁が下がるため、軽貨物ドライバー不足が解消されます。③新型コロナウイルスの影響や半導体不足のため軽バンが調達できず、事業開始までの待ち期間がなくなります。④マイカーでできるため軽貨物で副業がしやすくなります。⑤副業から始めたドライバーが専業になったり、運送会社の経営者になったりと将来的には、運送業の業界全体が発展していくことになります。
 

 

・目次に戻る

 

9.車両自由化によるデメリット


 
軽貨物を開始する個人にはデメリットはほとんどありませんが、社会全体としては、①運転技術の未熟なドライバーも参入するため、交通事故が増える可能性があります。②今までのプロの軽貨物ドライバーの場合は、ここには駐車したらだめというエリアを熟知して、少し離れたところに駐車して配達を行いますが、マナーの悪いドライバーが増えて、駐車クレームが増加することが考えられます。③荷物を投げる、壊れたまま配達するなど、荷物を乱雑に扱うドライバーが増え、業界全体の品質が下がることが懸念されます。④副業ドライバーが多く参入してくるため、配送単価が下がる可能性があるなどです。ただし、ヤマト運輸や佐川急便などの宅配大手は、2017年から段階的に値上げをしており、2024年からのドライバーの残業規制猶予解除もあることから、そう簡単には値崩れすることはないかと考えられます。
 

 

・目次に戻る

 

10.週末副業が増える


 
今回の車両自由化によって、マイカーを利用した週末副業が増えると考えられます。週末のみならず、子供を送り出した後の時間帯で主婦層が帰校時間までの配達や、夕方の配達を週2~3回行うなど、アルバイトするよりも時間の融通が利きやすい軽貨物ドライバーに参入される方が増えてきます。
 
また、冬期には、Uber Eatsや出前館などのフードデリバリーが積雪・路面凍結のリスクがあるため自転車や原動機付自転車(原付)ではできないため、軽自動車での配達需要が高まります。フードデリバリーの場合は、ギグワークと呼ばれる自分の好きな時間だけ働くことができるため、副業として時間の都合が付けやすく「こづかい」程度の稼ぎであれば、普段使用していないマイカーを利用してできるいい条件の副業の1つとして選択肢にぜひ組み入れていください。
 

 

・目次に戻る

 

11.貨物車(4ナンバー車)と同じ条件で仕事ができるか


 
2022年12月現在の情報ですが、アマゾンフレックスはワゴン車(5ナンバー車、乗用車)では登録を行うことができません。 ⇒現在では、車高1700mm以上、後部座席を倒せることができるワゴン車(5ナンバー車、乗用車)はステーション限定、時間帯限定でアマゾンフレックスができるようになっています。 他の大手軽貨物運送会社でも最大積載量がワゴン車(5ナンバー車、乗用車)では165kgしかないため、最大積載量350kgの貨物車(4ナンバー車)を優先するとコメントしています。残念ながら、貨物の重量が常に165kg以下で決まっている荷主から直接仕事をもらわない限り、軽貨物運送会社から委託というかたちで仕事をもらうことは難しいといえます。今後の制度改定で最大積載量が貨物車(4ナンバー車)と同等の350kgにならない限りは、ワゴン車(5ナンバー車、乗用車)の主な仕事はフードデリバリーになりそうです。
 

 

・目次に戻る

 

おわりに


 
前項の(11)でも触れましたが、法律では車両自由化になっていますが、発注する側の大手軽貨物運送会社などは、貨物車(4ナンバー車)から優先して仕事を割り振るとしています。これは、荷主から仕事をうけた段階では、165kg以内で収まるかどうかがわからないため、安易にワゴン車(5ナンバー車、乗用車)に仕事を回すことができないためです。よほど繁忙期で貨物車(4ナンバー車)が配車できないような状態であれば別ですが、ワゴン車(5ナンバー車、乗用車)で安定的に仕事ができるのは、重量制限を気にしなくてもいいフードデリバリーが中心になってきます。
 
今後、法改正があって、最大積載量が貨物車(4ナンバー車)と同じの350kgになれば、かなりできる仕事が増えてきます。今の段階で本格的に専業で軽貨物ドライバーをやろうと思われる方は、バンタイプの貨物車(4ナンバー車)を購入もしくはリースして開始することをおすすめします。
 

 

・目次に戻る

関連記事

・軽貨物車両自由化(Q&A)
・軽貨物車両自由化その後
・大阪でアマゾンフレックスを始めるには(大阪住之江・堺・枚方・尼崎)
・軽貨物ドライバーを始めるならアマゾンフレックスか?クロネコヤマト軽貨物フランチャイズか?
・軽乗用車(5ナンバー車)でアマゾンフレックスを始める

 

 
 
ページのトップに戻る