【コラム】いすゞ自動車 普通免許で運転できるトラック発売
いすゞ自動車が、準中型免許を持っていなくても普通免許で運転することができる車両総重量3.5トン未満のディーゼルトラックを開発し、2024年夏に発売することが予定されています。同社はエルフシリーズとして販売する予定としています。このタイプのトラックでは競合他社がガソリン車として製造していますが、ディーゼル車(軽油車)としては業界初でさらに電気自動車タイプ(EV車)も予定しているとのことです。車両のサイズは、従来の2トン車と呼ばれる最大積載量が2トンを積めるタイプよりひとまわり小さい1.5トン車と呼ばれる車種になります。
このような車種を開発しなければならなくなった背景には、2007年(平成19年)及び2017年(平成29年)の2回にわたる道路交通法の改正によって普通免許で運転できる車の範囲が狭まり、トラックが運転できなくなったことに起因しています。
2007年(平成19年)以前に普通免許を取得された方は、車両総重量8トンまでの車を運転することができます。これは、最大積載量が4トンのいわゆる4トントラックまでは普通免許で運転することができ、それ以上の最大積載量が10トンのいわゆる10トントラックやトレーラーを運転する際には、大型免許やけん引免許を取得しなければならないというルールでした。これが、2007年(平成19年)の道路交通法改正により車両総重量が5トンを超えるトラックについては、20歳以上で普通免許取得後2年以上経過した者が取得できる中型免許を取得しないと運転ができないようになりました。これにより4トントラックと呼ばれる車両は中型免許取得者のみが運転できるようになっています。例外的に2007年(平成19年)以前の普通免許取得者は免許証の条件等の欄に中型車は中型車(8t)に限ると条件が付されて普通免許でも4トン車を運転することができます。
2度目の2017年(平成29年)の道路交通法改正では、新たに準中型免許ができ、車両総重量3.5トン以上の車が普通免許で運転することができなくなりました。いわゆる2トントラックと呼ばれる車両がこの準中型免許に相当する領域であり、普通免許所持者では、ハイエースなどの1トン車を除きトラックと呼ばれる車両を運転できなくなっています。
2024年問題を控えトラックドライバー不足がさけばれていますが、普通免許所持者が2トントラックを運転することができないため中型免許や準中型免許を取得させるために運送事業者が教習費用を払って取得させています。これらの免許取得費用は運送事業者にとって大きな負担になっており、取得後すぐに辞められてしまうと支払った自動車学校の免許取得費用が回収できなくなってしまっています。
この、道路交通法による中型免許、準中型免許の制度があるためトラックドライバーになろうと思ってもなれない現状がある中で、その問題を解決する大きな改革が今回のいすゞ自動車の新型トラックの開発です。
2トントラックに比べると積載量は若干落ちますが、1.5トン(車両総重量3.5トン未満)のトラックとしてルート配送や配送センターから顧客への区域配送として十分に活用することができます。これらの普通免許で運転できる規格のトラックが増えることによって中型免許、準中型免許を持っていなくてもトラックドライバーになることができるので、少しでもドライバー不足解消に貢献できると考えています。2024年の発売時にはどのような形で販売されるのか、またどのような運送事業者がこの1.5トン車を活用するのか、今から期待しています。
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。
・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP
ページのトップに戻る
合わせてこちらもお読みください
・運送業開業マニュアル
・利用運送開業マニュアル
・倉庫業開業マニュアル
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)
・物流特殊指定マニュアル
ページのトップに戻る