⑤コラム

【コラム】返納されない仮ナンバープレート


最終更新日 2023年11月27日



本コラムは、2023年5月22日(月)付、くるまのニュース掲載記事を参考にさせていただいております。
一般の人からするとあまり馴染みの無い話ですが、車検切れやナンバープレートの無い車で公道を走ることができない車を車検指定工場や自動車検査登録事務所(旧陸運局)まで一時的に走行するためには仮ナンバープレートの取得が必要になります。レッカー車で移動させるより自力走行させたほうが安価なため、このような状態になった車を車検指定工場までもって行きたい場合は、仮ナンバープレートを取得して走行することになります。
仮ナンバープレートの正式名称は、臨時通行許可番号標といい、大阪市の場合は、所在地の市町村に、①車検証、②自賠責、③本人確認書類(免許証、マイナンバーなど)及び走行するルート、手数料750円を添えて申請します。許可が得られれば、仮ナンバープレートを交付され、自動車に取り付けて走行します。仮ナンバーの貸出期限は5日以内と決められており、申請したルートを走行した後、5日以内に交付された市町村に返却しなければなりません。
そうした中で、最近仮ナンバープレートの未返納が横行していることが明らかになっています。この問題がクローズアップされたのは、行政の実態把握や改善をおこなっている総務省近畿管区行政評価局に仮ナンバーについての相談が寄せられたことがキッカケです。仮ナンバーを使用するため市役所に申請をしたところ、返納されていない仮ナンバーがあり、在庫が無いため貸し出せないと言われた、といった問い合わせや仮ナンバープレートを付けた車両が駐車場内に長時間駐車されている、といったものです。

これを受けて、同局が大阪府、滋賀県及び和歌山県の3府県から12市町を抽出して調査をおこなった結果、2021年度の臨時運行許可件数6276件のうち、約4分の1にあたる1518件の仮ナンバーが返納期間をオーバーしていたこと、また利用者の中には6か月を超えても返納していないケースが散見されることも明らかになりました。
仮ナンバープレートを許可されたクルマ以外に使用したり、不正な手段で臨時運行許可を受けたときには道路運送車両法第107条の規定により、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、または両方の罰則が科せられる併科となる可能性があります。
また、期限内に仮ナンバーと臨時運行許可証を返納しないときや臨時運行許可証を備え付けないでクルマを運行した場合は道路運送車両法第108条により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が規定されています。
このような実態が横行しているのは、仮ナンバープレートを申請する利用者の遵法意識が低いこと、自治体によっては、仮ナンバープレートの返却期限や罰則に関する説明・周知方法が徹底されていなかったりすることに原因があります。
これら、返却が正しく行われないと自治体が保管している仮ナンバープレートが不足して新たな申請者が利用できなくなってしまいます。仮ナンバープレートを利用しなくてもすむようにうっかり車検忘れを防いだり、仮ナンバープレートを一時的に利用することがあっても使用後はすみやかに返却するように私たち自身が心がけることが大切です。

当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP

 

 

ページのトップに戻る

合わせてこちらもお読みください

・運送業開業マニュアル
・利用運送開業マニュアル
・倉庫業開業マニュアル
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)
・物流特殊指定マニュアル

 

 

 

 

 

 
ページのトップに戻る

 

 

 

 

 

 

 

 


   ⑤コラム 

Generic selectors
完全一致検索
タイトルから検索
記事本文から検索
 お問い合わせ
contents
カテゴリー

楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。