⑤コラム

【コラム】日本郵政と楽天の提携その後


最終更新日 2023年11月27日



この記事は、朝日新聞2023年6月28日(水)及び7月1日(土)朝刊の記事を元に書いています。
日本郵政は2021年3月に1500億円を楽天グループ㈱(以下楽天G)に出資し1株1145円で取得しました。楽天Gの株式保有割合が8%を超え、三木谷氏の資産会社、本人、三木谷晴子さん、信託口に次ぐ第5位の大株主になっています。
その後、楽天Gの業績悪化ともに株価が下降し6月28日の終値は476円と取得価格から約58%も下落しています。株価が取得時の半値を下回り回復の見込みがなければ減損処理を行わなければならない規定があります。6月30日に日本郵政は、保有する楽天Gの株式の減損処理を行い2023年4~6月期に850億円の特別損失を計上しました。
皆さんもご存知のように楽天Gの低迷の理由はモバイル事業の不振で基地局整備の投資がかさむ上に利用者が伸び悩んでおり、2022年12月期の決算では、3728億円の純損失を計上しています。
2021年の提携当時は、かんぽ生命の不祥事、郵便物の減少と郵便局の窓口から客足が遠のく中、日本社会にとって歴史的な1ページになると日本郵政の新たな成長戦略として大きく期待されていました。日本郵政50.1%、楽天G49.9%の出資で設立したJP楽天ロジスティックス㈱に楽天Gの物流センターを移管したことで日本郵政の連結子会社になり、初年度で59億円の損失を計上しています。
まだ目に見える効果が出ていないとはいえ、両者の提携の範囲は広く、物流拠点や配送システムの共同化、楽天Gでのゆうぱっくの利用拡大、郵便局での楽天モバイルの売り込み、楽天Gから日本郵政へのデジタル化、DX化推進などの協力が行われています。
確かに、提携の効果が数字で表れていないのは残念ですが、両者の取組みとしては着実に実施されてきていると筆者は見ています。特に2024年問題を抱える日本郵政(実際には子会社の日本郵便)の業務プロセス改善、生産性向上のために取組みが遅れているDXの分野で楽天のノウハウや人材支援が得られるからです。ソフトの部分なので日本郵政が自前でDX化にとりくんでいくことはなかなか難しく、この部分での楽天Gの協力がえられえることは日本郵政にとって大きなプラスになると思います。

また、日本郵政は楽天G提携を第2のトールにしてはならないと言われています。日本郵政が2015年にオーストラリアの国際輸送物流会社を6200億円投じて買収しましたが、高コスト体質、オーストラリア経済の失速でわずか2年で4000億円の損失を計上、2021年にも674億円の損失を計上し、現在、トールホールディングスの売却を検討しているとされています。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。