⑤コラム

【コラム】荷待ち・荷役作業等時間原則2時間以内ル-ル


最終更新日 2024年6月18日



運送事業者を管轄する国土交通省、荷主企業を管轄する経済産業省や農林水産省による、持続可能な物流の実現に向けた検討会が2022年9月より定期的に開催され、2023年6月に最終とりまとめを行うことになっています。
5月19日に開かれた第10回の検討会で、効率的な物流を実現するためには、発荷主、物流事業者、着荷主が連携・協働して、現状の改善を図るための取組を実施することが必要であるとしています。その中で、発荷主及び着荷主に以下の事項の順守を求めていくことを打ち出しています。
荷主企業は、入荷・出荷に係る荷待ち時間及び積込み・荷卸し・附帯業務等の荷役作業にかかる時間を把握し、その時間を2時間以内とするよう求めています。また2時間以内でできている荷主も目標時間を設定してさらなる時間短縮に努めるとされています。
荷主事業者は、物流の適正化・生産性向上の取組を事業者内において総合的に実施するために荷主事業者は、役員等を物流管理統括者に選定しなければならないとしています。
平成29年(2017年)7月1日から、荷主都合で30分以上の荷待時間が発生した場合は、ドライバー乗務記録の記載対象となりました。その直後にトラック協会が実施したアンケート調査では、荷待ち時間が2時間~3時間が全体の14%、3~4時間が7%、4時間以上が4%と2時間以上の荷待ち時間が25%となっています。これに荷役作業がプラスされますので、ドライバーの運転以外の労働時間が長時間労働の原因になっています。
また検討内の中で、物流の改善提案と協力として、取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案することとする。という事項も合わせて盛り込まれています。
 

つまるこころ来年にせまる、物流2024年問題の長時間の時間外労働を少しでも減らしてドライバーの負担軽減をしていかなければモノが運べなくなる。そのためには荷主・着荷主に長年慣行化している荷待ち時間、附帯作業を軽減しなければ長時間労働は解消されない。という図式になっています。
荷待ち時間削減にはITシステム導入によるトラックバースの予約、管理、見える化が一番効率的です。荷役作業解消には、パレット化によってフォークリフト作業に変えることで効果ができます。それがわかっていて荷主・着荷主でできないのは、運送事業者の負担軽減になることはわかっているが、自社にとって直接のメリットがほとんどない投資だからです。
国の主導のもと、一定の補助金を出すなどして、企業に半強制に実施していくなど、強い指導力ですすめていかないと提言や要請レベルのみでは、解決が難しいのではないかと危惧しています。
 

当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。