②物流情報(倉庫)

営業倉庫にすると安くなる事業所税とは


最終更新日 2023年11月27日


営業倉庫にすると安くなる事業所税とは
倉庫業の免許をとって営業倉庫に転換すると事業所税が安くなる。ということを聞いたことがあるでしょうか?営業倉庫に与えられた特権として、倉庫の面積が大きい事業者ほど、自家用倉庫としてそのまま使うよりも事業所の税額が安くなるメリットを享受することができます。ここでは倉庫の事業所税についてのしくみ営業倉庫にするとどのくらい安くなるか、また、営業倉庫に転換するタイミングについても解説いたします。ぜひ、最後までお読みください。

1.倉庫に課税される事業所税とは

倉庫に課税される事業者税とは
事業所税とは、1975年(昭和50年)に都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるために制定された目的税で、地方税法で定められた都市だけで課税される市町村税のことをいいます。概ね人口30万人以上の都市が事業所税を課しており全国で77の市町村(東京23区を含む)が事業所税課税の対象となります。
首都圏であれば東京23区、政令指定都市である千葉市、さいたま市、横浜市、川崎市、相模原市、首都圏整備法に規定する既成市街地を有する市として川口市、武蔵野市、三鷹市があり、そのほかに人口30万人以上の政令で指定する市として川越市、所沢市、越谷市、市川市、船橋市、松戸市、柏市、八王子市、町田市、横須賀市、藤沢市などが事業所税の対象自治体になります。

ページのトップに戻る

2.事業所税の納税対象者

事業所税の納税対象者
各自治体によって例外があるかもしれませんが東京23区や大阪市の場合は以下の基準で事業所税が課税されています。

2-①.資産割

事業所の床面積の合計が1000平方メートル(303坪)を超える規模で事業を行っている法人又は個人となっています。これらは所有して使用しているものだけでなく、賃借物件も対象となります。事業所というのは、具体的に事務所、店舗、工場、倉庫のことを指します。
 

2-②.従業者割

事業所の従業者数の合計が100人を超える規模で事業を行う法人又は個人となっています。

ページのトップに戻る

3.事業所税の税額(2023年10月現在)

事業所税の税額

3-①.資産割

事業所床面積(平方メートル)×税率600円
 

3-②.従業者割

従業者給与総額×税率0.25%
 

ページのトップに戻る

4.なぜ、事業所税に減免措置があるのか

なぜ減免措置があるのか
各種学校、港湾施設、飛行場や鉄道施設などは、巨大な土地が必要です。その土地面積の割には収益をあげることができる金額が事務所(オフィス)と比べて限定的になるため減免措置が設けられています。減免の対象は課税標準の特例対象施設一覧表に記載されており、施設ごとに減免の割合が異なっています。
 

ページのトップに戻る

5.営業倉庫の減免率

営業倉庫の減免率
前出の課税標準の特例対象施設一覧表に対象施設が記載れており、営業倉庫は整理番号15にあたります。営業倉庫の減免率は資産割が3/4減免となります。従業員の人数によって課税される従業者割の減免適用はありません。
例えば16500㎡(5000坪)の倉庫を使っている場合は、自家用倉庫の場合は、年額990万円の事業所税がかかります。これを営業倉庫に転換した場合は、1/4の税額になる(3/4減免される)ためかかる事業所税は247.5万円となり742.5万円節税になります。
 
事業所税の比較
 

・倉庫業開業マニュアル
・大阪で倉庫業登録(許可)を取得する流れをわかりやすく解説

 

ページのトップに戻る

6.特例措置の適用の受け方

特例措置の適用の受け方
市町村長宛の事業所税 減免申請書に①事業年度、②資産割申告税額、③事業場家屋の所在地、④減免対象床面積、⑤減免割合、⑥減免税額を記入し、付帯資料として営業倉庫の登録証の写しと特例措置を受ける倉庫の床面積が記載されている建物図面を提出することによって3/4の減免を受けることができます。
 

ページのトップに戻る

7.まとめ

まとめ②
あくまでの営業倉庫の目的で使用している倉庫への減免措置になります。事業所税を減免するために安易に自家用倉庫から営業倉庫に転換することは、特例措置の主旨に反してしまいます。また、営業倉庫になると倉庫業法に基づく国土交通省の管理対象となりますので、四半期に1回の寄託物品の物量報告、不定期での運輸局監査が行われ、適切な運用が行われていない場合は倉庫業法違反として罰則の対象となります。
また、この特例措置を受けるためには事業年度の終了する日(=3月31日)までに営業倉庫の登録を完了しておかなければなりません。通常審査の標準処理期間は2か月ですが、審査の都合や書類の差し替え等で審査期間が長引く可能性もあります。3月31日登録に間に合わせるのであれば年内(12月中)に申請をしておくほうが無難です。

・倉庫業開業マニュアル
・大阪で倉庫業登録(許可)を取得する流れをわかりやすく解説

 

ページのトップに戻る

8.倉庫業をお考えの方は当事務所までご連絡ください

倉庫業に興味あればご連絡
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、倉庫業登録(許可)を行っています。通常は、一級建築士に依頼する倉庫が営業倉庫に該当するかどうかの建築面・施設面での診断も当事務所でサポートさせていただいております。許認可を取得する前段階からお客様と一緒に検討をさせていただきますので、倉庫業許認可の費用全体で考えて頂ければメリットが得られるかと考えております。倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします

・倉庫業開業マニュアル
・大阪で倉庫業登録(許可)を取得する流れをわかりやすく解説

 

ページのトップに戻る

9.お知らせ

お知らせ⑤
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP

 

ページのトップに戻る

 

・プライバシーポリシー

 

関連記事

・倉庫業開業マニュアル
・大阪で倉庫業登録(許可)を取得する流れをわかりやすく解説
・倉庫業登録(許可)・営業倉庫登録(許可)
・冷凍倉庫・冷蔵倉庫
・寄託と倉庫賃貸借の違い(倉庫業の登録が必要な場合)
・寄託倉庫保管料金の3期制
・倉庫業に必要な倉庫管理主任者とは
・営業倉庫の基準適合確認制度
・倉庫業の登録が必要でない場合
・営業倉庫の登録を受けている倉庫数
・営業倉庫としての登録を受けているかの確認
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)
・運送業開業マニュアル
・利用運送開業マニュアル
・物流特殊指定マニュアル

 

 

 

 

 

 
ページのトップに戻る

 

 

 

 

 

 

 
 


Generic selectors
完全一致検索
タイトルから検索
記事本文から検索
 お問い合わせ
contents
カテゴリー

楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。