東海電子主催セミナーで「物流下請法」を解説しました

2025年6月17日、東海電子株式会社主催のオンラインセミナーにおいて、「物流下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法(2026年より製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法に名称変更予定)」をテーマに講師を務めました。当日は全国各地から運送事業者、荷主企業、業界関係者の皆様など94名にご参加いただき、法制度の背景や実務上の留意点について、最新情報を交えながら詳しくお話ししました。物流下請法は、発注者(荷主)と受注者(運送事業者)の取引適正化を目的とする法律です。しかし、条文をただ読んだだけでは、自社の取引にどのように当てはめればよいのか、あるいは何が法令違反にあたるのかを判断するのは容易ではありません。

法改正を目前に控えた重要テーマ

物流下請法は、トラックドライバーの労働環境改善や物流の適正化を目的として、荷主と運送事業者間の取引条件を規律する法律です。2026年1月1日の改正施行を控え、荷主・運送事業者双方にとって待ったなしの対応が求められています。 特に今回の改正では、対象となる取引の範囲が拡大し、これまで制度の対象外と考えていた荷主企業や委託形態も、規制の適用を受ける可能性が高まっています。こうした背景から、セミナーへの関心度は非常に高く、募集開始から短期間で定員近くまで申し込みが集まりました。

セミナーの主な内容

当日の講義では、以下のポイントを中心に解説しました。

1.物流下請法の概要と改正のポイント

度の趣旨、現行規制と改正後の変更点を整理し、特に特定運送委託の位置付けについて、誤解されやすい点を具体例を交えて説明しました。

2.荷主が直面する実務課題

契約書面交付義務支払遅延の防止運賃・料金の適正化など、改正後に必要となる社内体制の整備事項を提示しました。

3.運送事業者の視点から見たリスク管理

不当な取引条件の押し付けへの対応、行政処分リスクの回避策、記録の保存方法など、現場対応で役立つ実践的なノウハウを共有しました。

4.質疑応答と事例検討

参加者から寄せられた具体的な質問に回答し、業種・取引形態ごとの対応方針をその場で整理しました。

セミナー参加者の反応

セミナー終了後のアンケートでは、多くの参加者から以下のような声をいただきました。
「制度の概要は知っていたが、改正の背景や具体的な対応方法まで理解できたのは初めてだった」
「荷主側・運送側の双方の視点で説明があったため、自社の立場で何をすべきかが明確になった」
「契約書面や取引条件の改善にすぐ着手する必要性を強く感じた」

登壇の意義と今後の展望

今回のセミナーは、荷主・運送事業者双方に対し制度を知っているだけでは不十分であることをお伝えする貴重な機会となりました。物流下請法は、単なる法令遵守の問題にとどまらず、物流の効率化や取引の健全化を通じて企業価値を高めるための重要なツールです。改正施行までの残り期間でどれだけ早く対応に着手できるかが、企業の競争力に直結します。

今後も当事務所では、セミナーや研修、顧問契約を通じて、企業が円滑かつ適正な取引関係を構築できるよう全力で支援してまいります。

・2025年12月「物流下請法」の本を出版します
・【2026年1月から適用】製造・流通業の荷主企業が知っておくべき運送委託に関する下請法改正のポイント
・荷主のための物流下請法対応マニュアル
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)