③物流情報(コンプライアンス)

運送業2024年問題 ドライバーの残業規制でどれくらいコストがアップするか


最終更新日 2023年8月28日

2019年に施行された働き方関連法で年間の残業の上限規制導入、有給休暇取得の義務化、同一労働同一賃金が定められています。特に年間残業時間は720時間/年(60時間/月)とされています。この残業規制が業界によっては到底達成できないとして運送業、建設業、医師及び沖縄・鹿児島の砂糖製造業に限り2024年までの猶予を受け運送業は特例で960時間/年(80時間/月)とされています。
それよりも1年前の2023年から60時間/月を超える残業時間については25%増しから50%増しで残業手当を払わなくてはならないという制度になっています。
残業時間120時間のドライバーに支払う人件費が約4.5%増加します。運送代金に占める人件費はおおよそ45%と言われていますので約2%の値上げを荷主に対して転嫁しなければなりません。
また、2024年にドライバーの残業時間を80時間/月としたうえで今(120時間/月)と同じ賃金を払うとなると人件費は約20%、運送費全体で9%アップすることになります。

1.2023年からの60時間を超える残業時間について25%増しから50%増しへ変更した場合(基本賃金2000円/時、残業120時間で試算)
(すべて25%増しの場合)
基本賃金 2000円x180時間
残業代金 2000円x1.25x120時間
合計   660,000円
(60時間超が50%増しの場合)
基本賃金 2000円x180時間
残業代金 2000円x1.25x60時間
残業代金 2000円x1.5x60時間
合計   690,000円
※すべて25%増しの場合と比較して4.5%アップ

2.月120時間の残業を月80時間に減らしてドライバーの収入を同じにした場合
(現行120時間残業で69万円)
基本賃金 2000円x180時間
残業代金 2000円x1.25x60時間
残業代金 2000円x1.5x60時間
合計   690,000円
(残業80時間で同一水準の賃金を支払う場合は2400円と20%増しにしなければならない)
基本賃金 2400円x180時間
残業代金 2400円x1.25x60時間
残業代金 2400円x1.5x20時間
合計   684,000円

当事務所では他の運送会社が実施している取組事例等をご紹介させていただきドライバーの残業削減に取り組んで参りますので、お気軽にお問合わせください。

・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 
 


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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。