【コラム】返納されない仮ナンバープレート
本コラムは、2023年5月22日(月)付、くるまのニュース掲載記事を参考にさせていただいております。
一般の人からするとあまり馴染みの無い話ですが、車検切れやナンバープレートの無い車で公道を走ることができない車を車検指定工場や自動車検査登録事務所(旧陸運局)まで一時的に走行するためには仮ナンバープレートの取得が必要になります。レッカー車で移動させるより自力走行させたほうが安価なため、このような状態になった車を車検指定工場までもって行きたい場合は、仮ナンバープレートを取得して走行することになります。
仮ナンバープレートの正式名称は、臨時通行許可番号標といい、大阪市の場合は、所在地の市町村に、①車検証、②自賠責、③本人確認書類(免許証、マイナンバーなど)及び走行するルート、手数料750円を添えて申請します。許可が得られれば、仮ナンバープレートを交付され、自動車に取り付けて走行します。仮ナンバーの貸出期限は5日以内と決められており、申請したルートを走行した後、5日以内に交付された市町村に返却しなければなりません。
そうした中で、最近仮ナンバープレートの未返納が横行していることが明らかになっています。この問題がクローズアップされたのは、行政の実態把握や改善をおこなっている総務省近畿管区行政評価局に仮ナンバーについての相談が寄せられたことがキッカケです。仮ナンバーを使用するため市役所に申請をしたところ、返納されていない仮ナンバーがあり、在庫が無いため貸し出せないと言われた、といった問い合わせや仮ナンバープレートを付けた車両が駐車場内に長時間駐車されている、といったものです。
これを受けて、同局が大阪府、滋賀県及び和歌山県の3府県から12市町を抽出して調査をおこなった結果、2021年度の臨時運行許可件数6276件のうち、約4分の1にあたる1518件の仮ナンバーが返納期間をオーバーしていたこと、また利用者の中には6か月を超えても返納していないケースが散見されることも明らかになりました。
仮ナンバープレートを許可されたクルマ以外に使用したり、不正な手段で臨時運行許可を受けたときには道路運送車両法第107条の規定により、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、または両方の罰則が科せられる併科となる可能性があります。
また、期限内に仮ナンバーと臨時運行許可証を返納しないときや臨時運行許可証を備え付けないでクルマを運行した場合は道路運送車両法第108条により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が規定されています。
このような実態が横行しているのは、仮ナンバープレートを申請する利用者の遵法意識が低いこと、自治体によっては、仮ナンバープレートの返却期限や罰則に関する説明・周知方法が徹底されていなかったりすることに原因があります。
これら、返却が正しく行われないと自治体が保管している仮ナンバープレートが不足して新たな申請者が利用できなくなってしまいます。仮ナンバープレートを利用しなくてもすむようにうっかり車検忘れを防いだり、仮ナンバープレートを一時的に利用することがあっても使用後はすみやかに返却するように私たち自身が心がけることが大切です。
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