【コラム】大阪府のタクシー9割が6月から「55割」廃止へ
大阪府や神戸市などの近畿運輸局管轄のタクシー運賃が6月から値上げされています。大阪府ではこれまで普通車の初乗りの運賃の上限は1.7kmで680円でしたが、1.3kmで600円となり、1kmあたりの運賃がおよそ15%引き上げられます。また、走行距離ごとの加算運賃の上限も、現在の241mごとに80円から、260mごとに100円になります。これによりタクシー運賃が12~14%値上げになりました。さらに、大阪府の多くのタクシー事業者の間で導入されている、5000円を超えた分の運賃を半額にする、「55割」については90%以上のタクシー事業者が廃止をするとしています。もともと2002年の小泉政権下における、いわゆる小泉・竹中改革によってタクシー業界の規制緩和が行われ新規参入が容易になりました。それによりタクシー業界に多くの新規事業者が参入し、過当競争の一環として行われたのがこの55割です。55割とは、「5000円超分5割引」と呼ばれる制度で、終電がなくなった人が自宅まで帰る手段としてタクシーを利用した場合に5000円を超える部分はタクシー料金が半額になるといった関西地区、とりわけ大阪府下で多くのタクシー事業者が採用していた制度です。通常1万円かかるタクシー運賃でも、この制度を利用した場合は7500円になりますし、長距離で2万円かかる運賃の区間に乗車した場合でも55割が適用されているタクシー事業者の場合は、12500円で支払で済むことになります。
この制度の導入によって、歩合制の勤務体系で働いているタクシー運転手の大半が収入が大幅に減ってしまうことになり、タクシー運転手の恨み節を筆者もよく聞かされました。90%のタクシー事業者が6月1日よりこの制度は廃止し、新たに「91割」と呼ばれる9000円を超えた運賃に対して1割引きにする制度を新に始めることとしました。TVのニュースでも55割廃止、91割導入に関してのインタビューをおこなっていましたが実質値上げでメリットがなくなるため、1~2時間繰り上げて終電がある時間帯に電車で帰るといった人が多くおられました。過当競争が続くタクシー業界にとって55割廃止が今後どのようになっていくかは未知数ですが、大阪府で10%のタクシー事業者は今後も55割を継続していくということですので、予約を受けて55割を適用して長距離の旅客輸送を行うということも行われていくことになると思われます。
大阪府下(大阪運輸支局管轄エリア)のタクシー営業区域は、6つの交通圏にわかれ、①大阪市域交通圏(大阪市、堺市、東大阪市など)、②北摂交通圏(大阪市以北の地域)、③河北交通圏(枚方市周辺)、④河南交通圏(松原市、藤井寺市など)、⑤河南B交通圏(富田林市、河内長野市など)、⑥泉州交通圏(高石市、和泉市以南の各市町)とありますが、いずれも需給調整により新規のタクシー事業認可ができなくなっています。
タクシーとは異なり、流しやアプリでの配車を行わない完全予約制の都市型ハイヤーであれば新規の許認可が可能です。コロナ明けで、インバウンドが増える中、関西国際空港から大阪市内のホテルへの予約制のハイヤー、京都の観光名所の1日貸切観光など今後、都市型ハイヤーの需要はますます増えると予想されます。
当事務所では、運輸専門の行政書士事務所として、近畿運輸局との対応に豊富な経験を持っています。都市型ハイヤーを新規で開業したい方はぜひお問合せをお願いします。
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