【コラム】再配達削減PR月間
2024年4月からは物流2024年問題といわれるトラックドライバーの働き方改革の法律が適用され、現状のままの運び方が難しくなります。多様化するライフスタイルとともに電子商取引(以下、EC)が市場全体で年間20.7兆円、うち物販系が13.3兆円の規模になっています。EC拡大に伴い宅配便の取扱個数も2016年比で約9.34億個(23.2%増)と大幅に増えています。
閣議決定された2021年~2025年の総合物流施策大綱でも宅配BOXや置き配の普及、PUDOステーション(※)などの街中の宅配ロッカー設置、住民への配送業務を業者間でシェアリングを行う等の政策を掲げ、2025年度には再配達率を7.5%まで下げるとしています。
国土交通省が年2回実施している宅配便再配達率のサンプル調査では、2019年4月には全体の16%(都市部では18%)ありましたが、宅配ボックスや街中の宅配ロッカー設置が普及したため、2021年4月の再配達率は11.2%(都市部で12%)と改善されています。総合物流施策大綱に示された再配達率7.5%にするためにはさらなる努力が必要になってきます。
国土交通省は、2023年4月を再配達削減PR月間として、再配達削減に向けた取組を強力に実施してきています。国土交通省・経済産業省による広報に加えて宅配便、EC、通販事業者がそれぞれ時間帯指定の活用、メール・アプリ等の活用、コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配などの受取方法の活用、発送時に送付先の在宅時間を確認するなどを呼びかけしてきました。
また、私たちECを利用する側からしても、急ぎ便を状況に応じて使い分けたり、できるだけまとめ買いで配送回数を減らすようにしてりすることをするのは再配達削減にも効果的です。
これらは、再配達削減PR月間の単月で終わらせるのではなく、これからの継続して行っていかなければなりません。
国土交通省のサンプル調査でも明らかなように全国平均に比べて都市部の再配達率が高いのは、単身世帯が多く、昼間の時間帯は不在であることから、宅配ロッカーのない集合住宅に配達に行ってもかなりの確率で持ち帰りとなってしまいます。私たちもECや通販の注文時に意識しなければならないのですが、時間帯指定ができないシステムになっている場合等もあり、買手側からはどうしようもならないこともあります。アマゾンで購入する際には、注文確定の画面で玄関、宅配ボックス、ガスメーターボックス、自転車かご、車庫、建物内受付/管理人を指定する項目があります。このような指定欄を設けておくだけでも貴重品でない日用品や書籍などは再配達削減につながります。
このように、EC事業者が再配達を削減するように購入時に買手側に設けた選択肢を選択させて、できるかぎり1回で配送が完了するようなしくみを構築してほしいです。
私たち買手側も、不在通知がポストに入っていると、それをみて電話をかけたりアプリで再配達指示を出したりと手間が増えるため、できるだけ1回で配送を完了させたいと思っています。
楽天やYahooショッピングはそれぞれの出店者との取引になるのでそれぞれで配送方法の条件が異なっています。これらも統一して1回で配送完了できるシステムにしていただくと、売手良し、買手良し、配送事業者良し、の3方良しとなります。
※PUDOステーションはヤマト運輸が設置する宅配ロッカー
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