⑧ハイヤー・タクシー

陣痛タクシー


最終更新日 2024年6月23日


陣痛タクシー
陣痛が起こったり、急に破水した場合にすぐに病院にいけるだろうか?そんな不安を抱えておられる妊婦さんが多くいます。そんな不安を解消するため自治体とタクシー会社が連携して陣痛タクシーと呼ばれるサービスが始まっています。今回は、大阪市での事例を紹介いたします。

1.タクシーに乗るのを躊躇する妊婦さんと乗せたがらないタクシードライバーの実情

ドライバーと妊婦さんの事情
破水したり陣痛が起こった場合、すぐに病院にいかなければなりませんが、妊婦さんがタクシーを呼ぶのを躊躇されるケースが多いようです。理由としては病院までの乗車中に破水や出血があった場合に後部座席のシートを汚してしまうのではないか?という不安があり、タクシーを呼ぶことをためらっています。また、タクシードライバー側の事情としては、妊婦さんを病院に運んだ場合に、そのまま出産⇒入院となるため、入院用具一式を準備し持っていかなければなりません。その準備に時間がかかるため、待機している時間に駐車違反のキップを切られてしまう可能性もあります。このような理由により妊婦さんの切羽詰まった時期になかなかタクシーを呼びづらいという事情がありました。
 

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2.陣痛タクシーの認知度

陣痛タクシーの認知度UP
首都圏では、日本交通が2012年から開始し、現在、東京23区、武蔵野市、三鷹市でサービスを行っています。サービス開始から10年近くたっていることから2020年に日本交通が行った妊婦さん3692人に対して行った認知度調査では、知っているが使ったことはないが46.2%、知っていて登録をしたが39.7%、知らないが14.1%でした。約86%の妊婦さんが陣痛タクシーのことを知っていてそのうち約半数が陣痛タクシーを利用すべく登録をしています。また累計で10万人以上が利用しています。
 
陣痛タクシーの認知度
 

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3.陣痛タクシーの仕組み

陣痛タクシーの仕組み
陣痛タクシーとは文字通り、陣痛や破水が起こった際に妊婦さんに寄り添ったサービスを行い病院まで安心して送り届けるサービスです。あらかじめ自宅住所や出産予定の病院を登録しておくことで、行先を告げなくても出産予定の病院まで送り届けてくれます。ドライバーも陣痛時の対応など研修を受けたベテランドライバーが対応し、破水や出血に対応するため後部座席に防水シートを敷いて迎車してくれます。
 

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4.大阪市内での陣痛タクシーサービス

大阪市内での陣痛タクシーサービス
下記の表のとおり、大阪市内で陣痛タクシー運用されている区は24区のうち6区で
日本交通グループ関西が北区・福島区・中央区、国際興業大阪が東淀川区・住吉区、日本タクシーが旭区で運用しているにとどまっています。
 
大阪市内の陣痛タクシー(表)
 

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5.自治体と連携した陣痛タクシーのサービス

自治体と連携
大阪市旭区では、日本タクシーが旭ゆりかごタクシーの名称で8年間で約2800件の登録があり、延べ800人が利用しています。この陣痛タクシー利用には自治体(大阪市旭区)が全面的にバックアップしています。陣痛タクシーの場合は、ドライバーが車から離れて対応せざる負えないケースがあり、駐車違反のリスクがあるため参入をためらうタクシー事業者もあります。旭区の取り組みでは、陣痛タクシーの利用申し込みを受けてタクシー会社が旭警察署に連絡をすると即座に臨時の駐車禁止除外指定車標章が発行され、タクシー会社でプリントアウトしてフロントガラスの見やすい位置に掲示することにより駐車違反が免除になります。このように行政とタクシー会社が連携することにより陣痛タクシーの普及にとりくんでおられます。

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6.陣痛タクシーの普及が難しい理由

陣痛タクシーの普及が難しい理由
大阪市内24区のうち6区でしか陣痛タクシーのサービスが受けられません。タクシー会社が陣痛タクシーへの参入をためらう理由として、①ドライバーの知識不足があります。男性ドライバーの場合、妊婦を病院まで送り届ける間に予測不能の事態になった場合にどのように対応したらよいかわからない。といった具合です。タクシー会社で研修等を行うことにより、ドライバーの知識、理解を深めていますがまだまだ道半ばといったところです。②人で不足で対応できない。といった理由もあります。陣痛はいつおこるかわからないため、基本24時間体制で対応しなければなりません。夜間に研修をうけたドライバーがいない場合は、陣痛がおきた妊婦さんに対応することができないため、サービスを開始することができないということです。③ドライバーが車を離れるため駐車違反のリスクがあるということで参入をためらうタクシー事業者もあります。
 

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7.お知らせ

お知らせ⑧
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、都市型ハイヤー介護タクシー、観光バス等の許可・認可を行っています。許認可取得だけでなく、開始前の手続きから開始後の運輸局への諸手続き、貸切バス適正化センターの巡回指導の支援サポートまで行っています。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。