①物流情報(貨物運送)

冬場に増加するタイヤ脱落事故


最終更新日 2023年12月20日


冬場に増加するタイヤ脱落事故
本記事は、2023年12月14日放送の関西テレビ「newsランナー」のニュースでの菊池幸夫弁護士のコメントを参考にさせていただいて書いています。
 
全国各地でタイヤ脱落による事故が頻繁に起こっています。特に大型のトラックやバスのタイヤは1個100kg以上にもなり、脱落事故が起こり人や車に直撃すると死亡事故につながる大事故になります。なぜ、このような事故が起こるのでしょうか。またタイヤの脱落事故の法的責任は誰が追うのでしょうか?これらについて解説していきます。

1.ベストセラーになった池井戸潤の小説「空飛ぶタイヤ」

空飛ぶタイヤ
半沢直樹で有名になった池井戸潤が2006年に刊行された小説、空飛ぶタイヤでは、2002年に起こった大型トレーラートラックの左前輪が突然外れ、そのタイヤが下り坂を転がり、ベビーカーを押して歩行中だった母子3人を直撃し母親が死亡した事故をモデルとして書かれているといわれています。この小説では、運送会社の整備不良から自動車メーカーのリコールへと発展し、大きな事件となっていきます。
 

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2.なぜタイヤ脱落事故は冬場に集中するのか

脱落事故冬場集中
2022年度のタイヤ脱落事故140件中、11月14件、12月39件、1月20件、2月20件と2/3が冬場に集中しています。これはノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの履き替えのタイミングでホイールナットの締め付け不足やタイヤ交換後、一定距離走行後に増し締めを行っていないために起こるのが主な原因です。私たちが乗る乗用車でもタイヤを交換した際には、約1か月後もしくは100km走行した後くらいに整備工場へ車を持ち込んで、増し締めを行うように整備工場から言われてそれを遵守して増し締めを行ってもらっています。忙しいからといって、この増し締めを行わないとタイヤ脱落事故になる可能性が高くなります。
 

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3.人を死傷させたらどんな罪に問われるのか

どんな罪に問われるのか
トラック、バス、乗用車に関係なくタイヤの脱落事故により人を死傷させた場合は、どのような罪に問われるのでしょうか。運転者に責任がある場合は、自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条による過失運転致死傷罪となり、7年以下の懲役、禁錮または100万円以下の罰金に処せられます。死亡事故を発生させた場合は、よほど遺族の処罰感情が厳しくない場合を除いて執行猶予はつかず、懲役もしくは禁錮刑で2から4年程度服役することになります。
 

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4.タイヤの脱落事故は誰の責任なのか

誰の責任なのか
タイヤを自分で装着した、日常の点検を怠っていた場合には、運転者の責任になります。整備工場などの業者にタイヤを装着してもらった場合で業者の過失がある場合は業者の責任になりますが、過失を立証することは難しいため運転者の責任になってしまいがちです。タイヤや自動車そのものに欠陥があった場合にはメーカーなどの責任になります。
トラック運送事業者などの場合は、運転者の責任に加えて車の整備管理を担当している整備管理者や事業者の代表も責任の対象となります。
 

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5.日常点検、定期点検を怠らない

日常点検定期点検
トラックやバスなどの運行事業者は、運行開始前に運転者による日常点検が義務付けられています。加えて3か月に1回定期点検1年に1回車検を受けることが義務付けられています。トラック脱落事故が発生して、運送事業者で日常点検、定期点検が行われていなかった場合は、運輸局での行政処分となり○○日車となってしまいます。行政処分により○○日車となった場合には、一定の期間、トラックのナンバープレートを外して運輸局に領置しなければなりません。その間は、ナンバープレートを外したトラックが稼働できないためその運送事業者にとってその月の売上が大きく減少してしまうことになります。JAF(日本自動車連盟)でも乗用車の運転者に日常点検15項目を実施するように推奨しています。
 

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6.令和5年(2023年)10月からの整備管理規程の改定

整備管理規程
タイヤ脱落事故の多発を踏まえて、国土交通省は整備管理規程のひな形を令和5年(2023年)10月から改正し、第18条に大型車の車輪脱落事故防止措置の項目を追加しました。
追加された内容は、タイヤ交換作業を実施した運転者及び整備要員に対し、その結果をタイヤ交換作業管理表及びタイヤ交換・増し締め作業 管理一覧表に記録させ、整備管理者に報告させるものとする。という内容になっています。また、増し締めを確実に行わせるために50km~100km走行後のホイール・ナットの増し締めを運転者及び整備要員に実施させ、タイヤ交換作業管理表及びタイヤ交換・増し締め作業 管理一覧表(別紙3-2)に記録してホイール・ナットの増し締めが確実に行われていることを整備管理者が確認するものとしています。
 

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7.お知らせ

お知らせ③
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。