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タクシードライバーが受験する地理試験


最終更新日 2023年11月27日



東京都、神奈川県、大阪府の都市部でタクシードライバー(タクシー運転手)として乗務開始するためには地理試験に合格しなければなりません。この地理試験とはどのようなもので、どれくらい難しいのか、地理試験に受かるためにはどのようなことをしなければならないのか、カーナビゲーションの精度が高く発達している中でアナログの地理試験が必要なのかについて解説をしていきます。

1.地理試験とは
地理試験の正式名称は、輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験といい①タクシー事業に係る法令、安全及び接遇と②当該指定地域に係る地理の2科目があります。この地理の部分がタクシーの地理試験と呼ばれています。特定指定地域及び指定地域の場合は、この試験に合格しないとタクシードライバーとして業務につくことができません。特定指定地域の場合は、筆記試験で40問出題され、合格基準は32問以上の正解(正答率80%以上)が合格基準とされています。また、試験時間は特定指定地域の場合は60分、指定地域の場合は30分です。
 

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2.特定指定地域・指定地域
地理試験を含む輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験に合格しないとタクシードライバーになることができない地域は、以下の地域になります。
①特定指定地域
(1)東京都
特別区(23区)、武蔵野市、三鷹市
(2)神奈川県
横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市
(3)大阪府
大阪市、池田市、箕面市、茨木市、高槻市、摂津市、島本町、豊中市、吹田市、東大阪市、八尾市、守口市、門真市、堺市、高石市、泉大津市、和泉市、忠岡町
②指定地域
埼玉県、千葉県、愛知県、京都府、兵庫県、広島県、福岡県の都市部の地域
 

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3.地理試験の問題
そのエリアの地理が頭の中に入っていて、イメージできるレベルになっていないと合格することができない難しい試験です。私も問題を解いてみましたがとても歯が立たないレベルです。タクシードライバーでもなかなか難しく、合格率は50%前後といわれています。そのため法令・安全試験は合格したが、地理試験のみ再試験を受験されるドライバーも多いです。公益財団法人東京タクシーセンターの実施している地理試験の一部を紹介いたします。解けるかどうか挑戦してみてください。
①次の交差点はどの幹線道路にあるかその番号を選びなさい
 (1)飛鳥山交差点、(2)上高井戸1丁目交差点、(3)三本杉陸橋交差点
②次の施設を地図の中から選択してマークしなさい。
(1)中野サンプラザ、(2)東京オペラシティ、(3)東京厚生年金病院
③高速道路の出入り口は首都高速の何線にあるか選びなさい
(1)用賀、(2)葛西、(3)霞が関
いかがでしたでしょうか。営業で東京都内は毎日車で回っているから・・・という人でもなかなか苦労するような問題ではなかったでしょうか。地理試験は難易度が高く、ドライバーが一度の受験で合格することは難しいです。ですが、多くの方は何度も諦めずに挑戦して合格しています。試験は1か月に4から5回程度行われているので、対策をしっかりとしたうえで受験をして、ドライバーは合格しています。
 

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4.最後に
カーナビゲーション(以下、ナビ)がこれだけ発達しているのに、地理試験が必要ないのでは?という意見が多く聞かれます。タクシードライバーは旅客輸送のプロですので、お客様が行きたい場所へ最短距離で正確にお連れしなければなりません。現在では、ほとんどのタクシーにナビが搭載されタクシードライバーも行き先を告げられてからナビをセットして出発します。ドライバーは地理試験に合格しており、営業地域の主要交差点、主要道路名、主要な施設名はほとんど頭のなかにはいっており、ナビはあくまでも補助として使用しています。これはプロドライバーの決定的な違いです。ナビに頼り切って運転するのと補助装置として使用するのとでは、運転する際の注意の方向が違ってきます。前方の道路状況や歩行者、自転車に注意を注いてナビを補助として聞き流して走行するタクシードライバーと一般のドライバーでは、事故発生の可能性が大きく異なってきます。タクシードライバーになるのであれば、営業地域の主要な地理はすべて頭の中にいれておくように、というのが現在のタクシー業界の考え方です。それができて初めてお客様の安心して目的地までお連れする安全が担保されるのです。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。