⑤コラム

【コラム】ヤマトと日本郵便が提携 メール便など配送一本化


最終更新日 2023年11月27日



2023年6月19日にヤマトホールディングス長尾裕社長、日本郵政の増田寛也社長、日本郵便の衣川和秀社長の3人ががっつり手を合わせて記者会見を行い、メール便や小型荷物の配送で提携すると発表しました。提携の内容は、ヤマト運輸のクロネコDM便、フリーマーケットの商品配送で利用が多く郵便受けに投函できる薄型荷物ネコポスのサービスを2023年10月から順次終了し、日本郵便の配送網を使ったサービスに変更しておくということです。背景にはトラックドライバーが不足するいわゆる2024年問題をにらんで配送を1本化することにより輸送効率の工場を狙っていくとしています。

クロネコDM便、ネコポスといったポストに投函する荷物を日本郵便に委託して配達してもらい、ヤマト運輸は対面渡しが必要なクロネコヤマト宅急便他のサービスに集中することになります。もともと、ヤマト運輸の強みであった、対面渡しもしくは宅配ボックスへの配達は自社サービスをそのまま維持して後発で莫大な工数のかかるダイレクトメールやメルカリなどのフリーマーケット商品の配送を提携先の日本郵便に委託するということになります。
ヤマト運輸にとっては、工数のかかるポスト投函荷物を外注することで相当数のドライバーを減らすことができるメリットがあります。一方の日本郵便も本来のポスト投函の荷物が増え、1回で配達できる荷物の個数が増え生産性があがります。お互いにとってWIN-WINの提携であると思われます。

今までのヤマト運輸では、若干高いけれど早いというイメージがありました。クロネコDM便は一律167円ですが、日本郵便の定形外郵便物ですと50g以内が120円、50-100gが140円になっています。ネコポスも一律385円ですが同等のサービスであるレターパックライトの370円に比べると少し割高感があります。
対面渡し分で比較すると大阪から千葉まで配送した場合に宅配便コンパクトであれば15時のコンビニ持込みで翌日午前中に配達指定ができます。料金はクロネコメンバーBIG割(15%割)を利用して箱代込みで668円です。一方、日本郵便のレターパックプラスの場合は、午前中郵便局持込みでないと、翌日午前中配達はできず、午後からの持ち込みの場合は、午後配送になってしまいます。送料は520円ですが、ヤマト運輸に比べ半日遅くなります。東京都内であれば、午後からの持ち込みでも翌日午前配達可能ですので、ヤマト運輸と同条件になります。
業務提携後のポスト投函分は、日本郵便の配達網を使うので日本郵便と配送条件が同じになってしまいます。配送条件が同じで料金が割高であれば、ヤマト運輸に委託していた荷物が日本郵便に流れるといったことも起こってくるかもしれません。とはいっても集荷と幹線輸送は今まで通りヤマト運輸が行いますので、この部分で日本郵便よりもどれだけ付加価値がだせるか、また新にどのようなサービスがポスト投函の荷物に対して行われるか期待されるところです。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。