⑤コラム

【コラム】送料無料の表示をやめてほしい


最終更新日 2023年11月27日



2023年6月23日(金)に消費者庁が無料表示の見直しを検討するための意見交換会を開催し、全日本トラック協会の馬場雅敏副会長より運送業界の現状などをヒアリングしています。この背景には、インターネット通販では送料無料の表示が広がっており、物流業界からは、配送にはコストがかからないという誤解を消費者に与え、荷主との適正な料金交渉を難しくしているなどと見直しを求める声が多くあがっていました。また、物流業界では、2024年問題と呼ばれる2024年4月からのトラックドライバーへの時間外労働規制が強化されるため人手不足や輸送量の減少が懸念されています。
今回の意見交換はこうした見直し対応検討するための、物流現場の声を聞いたかたちになります。この中で、馬場副会長からは、送料は運送の対価として受け取るものだとして無料の表現をやめ、どこが送料を負担しているかを明記するよう訴えています。今後消費者庁は、無料表示を行っている荷主側からも意見を聞いた上で、送料が商品価格にどのように反映されているか、表示の見直しによる影響などを整理して、消費者の誤解を招く表示の見直しに向けた方針をできるだけ早い時期に示したいとコメントしています。

長年、物流業界に身を置く筆者としてトラック協会のコメントはズシリと刺さる者があります。ただ、1消費者側の立場に角度を変えてみると、1000円の本を1冊購入する際に、送料が400円かかりますといわれたら、間違いなく、近所の書店に買いに行くと思います。高額商品を買う場合ならまだわかりますが、日常品、最寄り品を購入する場合に購入価格の20%~40%もの送料を払って購入していただくことが現実難しいことです。送料をどう負担するかについては、販売側企業の重要なマーケティング戦略で、販売者の利益に直結してきますので、それについては、当事者以外が総論的な意見を述べることはできても、深入りして入っていくことはできません。

また、私自身、大手荷主から運賃を叩かれて赤字で受けざる負えない運送事業者を多く見てきています。赤字で受託しているが故に、トラックドライバーの賃金をあげることができないという、負のスパイラルに陥っている運送事業者も少なからず存在しています。これを理由に消費者に対して送料無料を求めても、購入する側が困惑してしまうばかりです。送料無料とは、別次元の話で、適正な運賃を収受できるよう、荷主と運送事業者との間で運賃交渉を行ってほしいというのが、消費者側の本音です。
アメリカでもFree Shipping といってアラスカやハワイ諸島以外の主要地域への送料無料は普通に行われています。また、Buy 2 Get1 Freeといって、2個買うと1個無料になるといった販売方法は、マーケティング手法として大きな効果を出しています。英語のFreeの部分を直訳して無料としてしまうから言葉の響きが悪くなるのであって、送料無料の表現をやめて送料込みなどの表現に変えたほうが響きが違ってくるかもしれません。

2024年問題への対応で通販の一般消費者がやり玉にあげられていますが、筆者の2023年5月11日の記事2024年問題は宅配の問題ではないでも述べているとおり、トラック輸送全体での宅配の比率は、トン数ベースで物流全体の7%程度です。2024年問題の根本的な解決には90%以上を占めるBtoBの企業間物流をどのように改善していくかが大きな課題になっています。

・2024年問題は宅配の問題ではない
・送料無料に対する国の対応・新経済連盟の対応


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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。