【コラム】翌日配送がなくなる
宅配便に限らず、企業のBtoB物流でも物流センターに在庫がある商品は当日○○時までに注文を受ければ翌日にはお客様企業へのお届けが当たり前になっています。今までのモノが当たり前のように翌日届くという今までの常識が徐々に崩れていきつつあります。
2023年4月17日にヤマト運輸が6月から配送の体制を見直し、①首都圏や山梨県・新潟県と中国・四国地方(山口県を除く)の間で配送される荷物、②岩手県と関西地方(和歌山県を除く)の間の荷物、③静岡県の一部や富山県から福岡県へ配送される荷物について、翌日に配送できていましたが翌々日の配送に変更になります。時間指定についても翌日14時以降に指定ができていましたが、6月以降は翌々日の午前中以降の時間指定になります。
既に、首都圏から山口県や岩手県から和歌山県への配送は翌々日になっていましたが今回はその翌々日配送エリアを拡大した形になります。
東京駅から土讃本線の終着駅である高知駅の宿毛駅まで約1000km(途中で配送センター経由した場合)を翌日配送できていたヤマト運輸の従業員の方には、絶賛するに値します。
前提条件として、東京から高知自動車道の最終地点である四万十町中央ICまで約930km、そこから一般道を約70km走ることになります。
18時に東京の配送センターを出発して高速道路を平均75kmで走り、休憩等、法令に遵守した趣味レーションでは14時にお届けできるのが最短となります。
東京から四国の坂出まで運転する長距離ドライバーは18時から翌朝の5時30分までの11時間30分の拘束時間18時から翌朝の5時30分までの11時間30分の拘束時間で、改善基準告示2024で規定されている13時間を超えないは遵守できています。ただ、5時30分から11時間は休息期間としてドライバーに仕事をさせることができないので、16時30分までは仮眠をとってもらう必要があります。
現状でも2024年以降、法令に違反することはありませんが、同社の配送体制見直しの背景には、大雨による高速道路の速度規制などがあっても無理なく配送できる体制を整えることや、ドライバーの負担を減らすことなどをあげています。また、近年は老朽化した道路の補修工事の影響で配送が遅れるケースも生じていました。
それだけではなく、2024年以降、ドライバーの労働環境を上げ、離職率を下げておかないと、今までの配送網が維持できなくなるという危機感もあるのだと思います。
運賃値上げの時もそうですが、ヤマト運輸のような大手が先陣を切って実施し、その後に中小に浸透していくのが物流業界です。
今回のヤマト運輸の翌日配送エリアの縮小が、徐々に中小の運送事業者にも広がっていくのは時間の問題だと思います。荷主の方々は、顧客サービスの見直し、自社のお届け日数の見直しが急務になっています。
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