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【新しいライドシェア?】改革される自家用有償旅客運送制度


最終更新日 2024年4月21日


新しいライドシェア 自家用有償旅客運送制度
2024年4月から東京、神奈川、愛知、京都の4地域でライドシェアが部分的に解禁されています。現在は、実証実験というかたちですが、実証実験の結果が良好であれば恒久化される予定です。これとは、別にタクシー免許がない自家用自動車でもお金をとって有償旅客運送ができる制度が既に存在しています。国土交通省は現在すでに制度化されている自家用有償旅客運送制度を改革し、タクシーが不足する交通空白地域の運送手段の確保に取り組んでいこうとしています。
私の肌間では、地域によっては、ライドシェアよりも自家用有償旅客運送制度を上手に利用したほうが、タクシー不足を解決できると考えています。
現在、改革が進められている自家用有償旅客運送制度とはどのようなものなのか、タクシー不足を解消する新たな選択肢になりうるのか?について解説していきます。

・この記事を書いた人

【目次】

1.当事務所は介護タクシーの許可取得をサポートしています
2.マスコミが取り上げている日本版ライドシェアの概要
3.アメリカ、東南アジアでのライドシェアの現状
4.道路運送法第78条
5.自家用有償旅客運送制度とは
6.介護タクシーの免許を持っておれば自家用有償旅客運送ができるぶらさがり許可制度 
7.そもそも制度改革に至った経緯
8.国土交通省のすすめる改革案
9.パブリックコメントの意見
10.まとめ
11.この記事を書いた人
12.お知らせ

1.当事務所は介護タクシーの許可取得をサポートしています

介護タクシー許可取得をサポート
行政書士 楠本浩一事務所は、大阪でもほとんどいない運輸・物流を専門とする行政書士事務所です。旅客運送業・貨物運送業の許可には多くの実績があり、単なる書類作成代行だけではなく、貴社が介護タクシー事業への参入を決めた時点から許可、事業開始までサポートをして参ります。また、運送業の経営サポート、法務サポートを得意としていますので、介護タクシーへの参入をご検討の方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。

・介護タクシーを開業マニュアル

 

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2.マスコミが取り上げている日本版ライドシェアの概要

日本版ライドシェアの概要
2024年4月から開始された日本版ライドシェアとは、
ライドシェアのドライバーはタクシー会社に雇用され、乗務時間の管理、点呼、安全や点検についてはタクシー会社の管理のもとに実施されます。従って道路運送法に基づいたタクシードライバーと同様の運行前・運行後にチェックを行わなければなりません
②タクシーが不足するエリア、時間帯のみライドシェアが可能ですので、利用できる範囲がかなり限定されます。例えば、京都市を含む京都市交通圏では、火曜日は夜中の0時から午前5時までのみしか営業することができないため、昼間の空き時間にライドシェアをやってみたいといった人には厳しい条件になっています。
料金はタクシー料金と同等で、アプリでわざわざライドシェアを選択したとしても料金的なメリットはありません。
④車両は、ドライバーが持ち込んだ自家用自動車を利用しますが、タクシー会社によっては、営業車として登録されてない自家用車(白ナンバー車)をライイドシアのドライバーに運転させているようです。
 

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3.アメリカ、東南アジアでのライドシェアの現状

アメリカライドシェアの現状
アメリカではUber(ソフトバンクが出資)Lyft(楽天が出資)、東南アジアではUberの東南アジア部門を買収したGrabのアプリを使ってライドでシェアが行われています。Uberが設立されたのが2007年、東南アジアのGrabが2011年創業ですので、ライドシェアが本格的に始まってまだ20年もたっていません。ごくまれに事件に巻き込まれたという事例があるもののライドシェアでの安全性は確率されつつあります。特に東南アジアでは、ライドシェア普及以前は、タクシーがメーターを積載していない、メーターがあってもメーターを倒さず運賃を交渉しなければならない、といったタクシー利用の際の不便さがあったため運賃があらかじめきめられており、運賃交渉のいらないライドシェアが一気に広がりました。私も海外で何度か利用しましたが、空港からホテルへは、ライドシェアがタクシー乗り場に入れないため多少利用するには不便ですが、ホテルから空港までの帰路は、タクシーより運賃が安いライドシェアは使うメリットがあります。
 

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4.道路運送法第78条

道路運送法
道路運送法第78条では、自家用車(白ナンバー車)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならないと例外規定を設けています。その内容は、3項に掲げる公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するときとしています。また、この許可がえられる事業者が2項に規定される事業者で誰でも自家用有償旅客運送が行えるわけではありません。
 

<道路運送法第78条>

第78条 自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう。以下同じ。)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
1 災害のため緊急を要するとき。
2 市町村、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が、次条の規定により地域住民又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の運送その他の国土交通省令で定める旅客の運送(以下「自家用有償旅客運送」という。)を行うとき。
3 公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。

 

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5.自家用有償旅客運送制度とは

自家用有償旅客運送制度とは
道路運送法第78条の規定に基づき、自家用有償旅客運送という制度があります。自家用有償旅客運送制度とは、バス・タクシー事業が成り立たない場合であって、地域における輸送手段の確保が必要な場合に、必要な安全上の措置をとった上で、市町村やNPO法人等が、自家用車(白ナンバー車)を用いて提供する運送サービスのことをいいます。誰でも参入できる訳ではなく、市町村、NPO法人、一般社団法人、医療法人、社会福祉法人等に限られその目的も交通空白地もしくは福祉輸送に限られています。交通空白地域は、大阪府内では1部の地域を除いてほとんどないですので、自家用有償旅客運送事業が行われるのは福祉運送の目的として使われることになります。
 

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6.介護タクシーの免許を持っておれば自家用有償旅客運送ができるぶらさがり許可制度 

ぶら下がり許可制度
ぶら下がり許可とは、正式には、通院等乗降介助が算定できる介護タクシー事業所になるための許可といいます。介護保険制度で定められている訪問介護サービスの1つとして、通院等乗降介助があります。
介護タクシー事業者の中には、介護保険制度を活用できる訪問介護事業所の方がおられます。俗称として、介護保険タクシーやヘルパータクシー(以下、介護保険タクシーといいます)と呼ばれている事業を行うために必要な営業許可がぶら下がり許可と呼ばれます。つまり訪問介護事業所の営業許可と介護タクシーの業許可を持っている事業者が、ぶら下がり許可を取得することによって介護保険タクシーができるようになります。
通院等乗降介助が算定できるメリットは、訪問介護事業所で働くヘルパーさんが2種免許をもっていなくても通院等乗降介助を同時に行うのであれば有償旅客運送(=タクシー事業)ができるという点です。これが、自家用有償旅客運送の1つになります。
ライドシェア解禁というとUberが注目されますが、介護保険タクシーの制度改革も通院等で利用する方にとっては、かなり使いやすいものになるのではないかと考えています。
 

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7.そもそも制度改革に至った経緯

そもそも改革に至った経緯
介護保険タクシーを含む自家用有償旅客運送制度の改革は、内閣主催し岸田文雄首相、河野太郎デジタル行財政改革担当大臣を構成員とするデジタル行財政改革会議の中でライドシェア解禁と一緒に議論されてきました。令和5年12月20日の中間とりまとめで方向性が示されました。

中間とりまとめ
①タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定し、不足している移動の足を、地域の自家用車 や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補う。
②この新たな仕組みと合わせ、従来の自家用有償旅客運送制度を使い易い制度へ大幅に改善していく。

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8.国土交通省のすすめる改革案

国土交通省のすすめる改革案
デジタル行財政改革会議での中間とりまとめ内容を具体化するために国土交通省 交通政策審議会 自動車部会で議論され令和6年2月28日の第2回自動車部会で改革案がまとまりました。

改革案の内容
①ダイナミックプライシングの導入
対価の目安をタクシー運賃の約80%とした上で、通常の対価対して上限50%増し、下限50%引きの対価の額を設定することが可能
②運送区域の柔軟化
従来の運送区域内で完結する運送から、ハッチ、または着地のいずれかが運送食い域内であれば良いことを通達上明記する

注目すべきは①のダイナミックプライシング導入で、事業者の判断によって、タクシー運賃の半額以下で運送することができるようになります。
 

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9.パブリックコメントの意見

パブリックコメントの意見
2月の改革案に基づいて、自家用車活用事業の実施にあたっては、①車やドライバーの安全性、②事故が起こった際の責任、③適切な労働条件、が重要とした上で、改革案についてパブリックコメントを実施しました。タクシー事業のライドシェアと同様に賛否両論の意見がだされましたが、概ね良い意見であり本改革案どおり推進される予定です。
 

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10.まとめ

まとめ①
自家用有償旅客運送制度の改革には、期待できる部分が大きいのではないかと考えています。特にダイナミックプライシング導入については、詳しい運用は今後、決められておくことになりますが、事業者の判断で-50%から+50%の範囲内で対価を収受できることが実現できれば、介護保険タクシー事業者にとって大きなメリットになってきます。しかもタクシーのライドシェアとは違い、曜日や時間帯の制限がないためケアプランに応じた介護保険タクシーの運送が可能になります。介護タクシー1台で許可をとっておれば、自家用車(白ナンバー車)である介護保険タクシーを複数台使うことができます。今回の改革及びライドシェア解禁によりますます、使い勝手がよくなる介護保険タクシーへの参入をぜひ、ご検討ください当事務所が全面的にサポートいたします。

・介護タクシー開業マニュアル

 

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11.この記事を書いた人

半笑顔(背景白)
大阪市で行政書士事務所を経営している楠本浩一と申します。20年以上、物流業界で仕事をしてきた経験から大阪でもほとんどいない運輸・物流専門とした事務所です。国際物流の仕事の関係で上海に住んでいたこともあり、上海で鍛えた得意の北京語を駆使して中国系の企業もサポートさせていただいております。貨物運送、旅客運送関係、倉庫や海外の物流関係でお困りごとがありましたら、ぜひ、ご連絡ください。

・「英語のできる法律家」として金融庁のホームページに登録されました
・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP

 

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12.お知らせ

お知らせ⑨
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。
 

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楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。