④物流情報(その他)

大型車・中型車のトラックにもオートマティック車限定免許導入



大型車にもオートマティック車導入
運送協会の人手不足に対応するため、道路交通法の施行規則を改正して、トラック等の大型車・中型車についても普通車と同じようにオートマティック(以下オートマ)車限定の免許で運転できる新しい制度が導入されます。今後、警察庁では走行実験などを通じて安全性に問題がないことを確認したうえで2026年以降に実施される予定です。
 

1.現在の運転免許制度

自動車運転免許の種類
2007年(平成19年)以前に普通免許を取得された方は、車両総重量8トンまでの車を運転することができます。これは、最大積載量が4トンのいわゆる4トントラックまでは普通免許で運転することができ、それ以上の最大積載量が10トンのいわゆる10トントラックやトレーラーを運転する際には、大型免許やけん引免許を取得しなければならないというルールでした。これが、2007年(平成19年)の道路交通法改正により車両総重量が5トンを超えるトラックについては、20歳以上で普通免許取得後2年以上経過した者が取得できる中型免許を取得しないと運転ができないようになりました。これにより、4トントラックと呼ばれる車両は中型免許取得者のみが運転できるようになっています。例外的に2007年(平成19年)以前の普通免許取得者は免許証の条件等の欄に中型車は中型車(8t)に限ると条件が付されて普通免許でも4トン車を運転することができます。
2度目の2017年(平成29年)の道路交通法改正では、新たに準中型免許ができ、車両総重量3.5トン以上の車が普通免許で運転することができなくなりました。いわゆる2トントラックと呼ばれる車両がこの準中型免許に相当する領域であり、普通免許所持者では、ハイエースなどの1トン車を除きトラックと呼ばれる車両を運転できなくなっています。
 
物流2024年問題②

2.2024年問題への対応

運送業界では、2024年4月からドライバーの時間外労働の上限規制が導入され、今後人手不足が深刻化すると言われています。ドライバーの人体確保のためにマニュアル免許よりもオートマ限定免許の導入をしてほしいと言う運送業界の要望を受けて今回の決定となりました。
 
オートマ車増える

3.トラックやバスにもオートマ車が増えている

日本自動車工業会の資料によると、2022年にトラック・バスの運送事業者が保有する車両の約34%がオートマ車でした。2023年に販売された大型バスの約9割がオートマ車大型トラックの約7割がオートマ車になっています。今後も運送事業者の多くがオートマ車の保有を増やす意向であると回答しています。
 
自動車学校費用を負担

4.運送事業者の現状

現在の免許制度では、オートマ限定普通免許では、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の車両に限定して運転することができます。いわゆる2トントラック以上は運転することができません。この為、オートマ限定普通免許を所持している方が準中型や中型、大型免許を取得することをためらって、トラックドライバーのなり手が少なくなっています。普通免許しか取得していない方が入社すると、運送事業者が自動車学校への通学費用を払って取得させていますが、これらの免許取得費用が運送事業者の大きな負担になっています。
 
女性ドライバ―活躍期待

5.今後女性ドライバーの活躍が期待される

全日本トラック協会が発行している日本のトラック輸送産業現状と課題2023によりますと、道路貨物運送業の就業者数は令和4年度で男性160万人に対し、女性が41万人と約20%を占めています。ただし、ドライバーに限定すると男性83万人に対し、女性が3万人と約3%しかいないのが現状です。今後オートマ限定免許で大型トラックを運転できるようになれば、女性ドライバーがますます活躍できる業界になっていくのではないかと考えられます。合わせて2024年4月からの働き方改革で時間外労働も削減され、ますます働きやすい業界になってきます。
 

6.2026年以降に新たに導入される免許の一覧

2026年以降に導入される新たな免許
 

7.お知らせ

お知らせ③
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。