①物流情報(貨物運送)

トラックの待機料金の目安は?いくら払えばいいのか?


最終更新日 2023年11月27日



2023年(令和5年)6月2日の我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で岸田首相の出席のもと、物流革新に向けた政策パッケージがとりまとめられました。その中で、荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減として、荷待ち、荷役時間の削減等に向けた規制的措置等の導入するとしています。具体的には、トラックGメンによる調査で荷主・元請の監視の強化、結果の公表が今後行われるようになります。既に2017年(平成29年)7月から貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正により荷主の都合(倉庫事業者の都合も含む)で30分以上荷待ち時間が発生した場合は、トラックドライバーがその荷待ち時間を記録し、1年間保管することが義務付けられています。トラックの荷待ち時間の削減をすることは、もちろんのことですが、運賃と分けて他愛貴料金を支払わなければならないことになっています。(運賃・料金の収受ルール変更)トラックを待機させた場合、どれくらいの割増料金を払えばいいのか目安・相場料金について解説していきます。

なぜ、トラックの荷待ち時間が改善されないのか
倉庫のプラットホームが30台分しかなければ、30台を超えるトラックが荷物を積んできた場合は、必然的に荷待ちが発生します。早朝の大型倉庫では、50台以上のトラックが並んで荷降ろしの順番待ちをしている光景はあちこちで見かけます。物流に携わっていない外部の人間がこの光景を見ると、トラックの到着時間を指定してプラットフォームの数に見合ったトラック台数だけにすれば直ぐに荷待ち時間の問題は解決できると思われるかもしれません。ところが現実にはこのような到着時間の調整がほとんどなされずに一律に〇〇時に持っていけという指示しかできておらず、荷受を行う倉庫側としても自然な流れで到着したトラックから順番に荷降ろしをしていくという状況になっています。最近では、2024年問題の残業規制の影響もあり、トラックバース予約システムのようなソフトを導入する倉庫も一部ありますが、不特定多数のトラックが荷物を持ってくるような形態の倉庫は、まだまだこのような対策がとられていないのが現状です。
これは、運送事業者に委託をする荷主、倉庫事業者、倉庫事業者に委託する着荷主(荷主から見たお客様)との関係が影響しており、倉庫の着時間を決めるためには、荷主からお客様である着荷主を通して倉庫事業者と調整をしなければならないのです。荷主の物流担当者から荷主の営業担当に話を上げて、お客様と話しをしてもらう。お客様がOKしてくれても、今度はお客様から倉庫事業者に話を持って行ってもらわなければならないのです。多くの関係者が余計な仕事が増えるため、積極的にはやりたがらず、自然に到着したトラックから順番に荷降ろしをして溢れたトラックが順番待ちをする。といったスタイルが改善されずに延々と続いているのです。

令和2年度のトラック輸送状況の実態調査では、平均拘束時間12時間26分のうち、運転時間が6時間43分、休憩時間が1時間58分であるのに対し、荷待ち時間が1時間34分、荷役時間が1時間29分になっており、トラックドライバーは恒常的な荷待ちを強いられている結果になっています。

 

慢性的にトラックドライバーに30分以上の待機時間が発生する場合には、待機時間料として割増料金を払わなければならないのですが、どれくらいの待機時間料を払えばよいのでしょうか。1つの目安として国土交通省が令和2年に公表した標準的な運賃の中に待機時間料が定められています。現状の指標としては、この料金しかありませんので、待機料金を支払うのであればこの料金を目安として支払うようにしてください。
待機時間料金は、30分未満の場合は設定されておらず30分を超える場合には30分毎に課金をしていく料金体系になっています。30分当たりの待機料金は、小型車(2トン車)1,670円中型車(4トン車)1,750円大型車(10トン車)1,870円トレーラー2,220円になっています。この算定は、荷待ち時間は時間外労働時間に相当するとして法定割増率25%を乗じています。また、ドライバーの人件費には福利厚生のためのコストも上乗せされているとして時間外の割増率(25%)を乗じた後にさらに16.6%を乗じた金額を設定しています。小型車(2トン車)からトレーラーまでの平均の金額を3,657円/時間としています。

 

待機料金を支払ったからいいのではなく、ドライバーの拘束時間削減、時間外労働削減のためには待機時間を限りなくゼロに近づけなければなりません。待機時間を少しでも削減できるように荷主、着荷主、倉庫事業者及び運送事業者が連携して取り組んでいかなければならない重要な課題です。
 
・物流革新に向けた政策パッケージ
 
・「運賃」・「料金」の収受ルールの変更(標準貨物自動車運送約款の改正)
 
・トラックGメン対応支援窓口
 

・運送業コンプライアンスマニュアル

 

 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。