トラックGメン対応支援窓口を開設しました


最終更新日 2024年3月24日



国土交通省は、発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請運送事業者の監視を強化するため、2023年7月21日(金)にトラックGメンを創設することを発表しました。これは、岸田総理自らも出席し、肝いりで進められた我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で6月2日に取り決められた物流革新に向けた政策パッケージに基づく政策の1つにあげられていた内容を具現化したものです。7月の創設時には、82名の国土交通省職員がGメンとして担当し、その後、新たに80名を緊急増員し、162名体制で情報収集や聞き取りを通して違反行為には是正措置を求めるとしています。
<国土交通省プレスリリース トラックGメン創設>

【目次】
1.そもそもGメンとは
2.大きな成果を上げている下請Gメン
3.令和元年(2019年)貨物運送事業法の改正
4.トラックGメン創設の目的
5.トラックGメンが実施すること
6.荷主・着荷主・元請運送事業者が注意しておくこと
7.運送事業者が注意しておくこと
8.トラックGメン対応支援窓口の開設
9.トラックGメン対応支援窓口での実施内容
10.当事務所が選ばれる理由
11.Q&A
12.お問い合わせ
13.お知らせ



1.そもそもGメンとは
GメンとはGovernment Menの略語でアメリカ合衆国の連邦捜査局(FBI)の特別捜査官を意味していました。日本におけるGメンとは、特別司法警察職員として厚生労働省や地方厚生局に所属する麻薬Gメン(麻薬取締官)や労働Gメン(労働基準監督官)など、警察官ではないが、特定の法律違反について刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を行う権限が特別に与えられた一部の公務員やみなし公務員のことをいいます。今回、国土交通省で創設されたトラックGメンは、下請Gメンと同じく、犯罪捜査権限を持っている訳ではありませんが、情報収集や聞き取り調査を行い勧告や公表を行う権限をもった取引調査員という位置づけになります。
 

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2.大きな成果を上げている下請Gメン
トラックGメンと同じような組織として、2017年に経済産業省によって設立された下請Gメンと呼ばれる組織があります。下請Gメンは下請法(下請代金支払遅延等防止法)に違反している企業の勧告・働きかけを行うとして年間2000社を訪問して情報収集を行っています。2022年からは、下請Gメンの人数を倍増し248名体制で1年間に1万社の実態調査を行っています。特に原材料費の高騰により、原材料費や労務費の上昇分を取り引き価格に反映できているか調べ、価格交渉に応じない企業や不当な価格で取り引きしている企業の適正化を行う組織として活躍しています。2019年から2022年までの4年間(令和元年から令和4年まで)で下請法の勧告が21件、指導は32,710件になっています。2022年度単年度で見てみても下請法違反での勧告件数は6件、指導は8665件です。
 

 

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3.令和元年(2019年)貨物運送事業法の改正
令和元年(2019年)7月1日から施行された改正貨物自動車運送事業法では、新たに荷主勧告制度が規定されました。荷主勧告制度とは、トラックドライバーの拘束時間・運転時間の法律違反、過労運転や過積載に対して行政処分を行う場合に、荷主が指示し、荷主の行為に起因するものと認められるときは、国土交通大臣名でその荷主企業名及び事案を公表し、該当荷主に対して勧告を行う制度のことをいいます。勧告までには至らなかったが荷主が関与している場合は警告、協力要請、働きかけの措置をとることができます。
荷主勧告が行われる具体例としては、①向上的な待ち時間の発生②非合理な到着時間の設定③遅延に対するペナルティ請求④重量違反(過積載)となるような依頼等があげられています。実際には、国土交通省の職員が運送事業者及び荷主の状況を調査した上で、荷主勧告に該当するかどうかを判断するとしています。また、国土交通省は公正取引委員会と連携することにより下請法・物流特殊指定・独占禁止法に違反している事案についても勧告できるとしています。
 

・荷主配慮義務・荷主勧告制度(令和元年貨物自動車運送事業法の改正)
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4.トラックGメン創設の目的
もともとトラックドライバーは長時間労働の割には低賃金で、ドライバーの高齢化、担い手不足が喫緊の課題でした。いわゆる運送業2024年問題といわれる働き方改革の一環として2024年(令和6年)4月よりドライバーに時間外労働の上限規制(年間960時間が上限)が適用され、日通総研や野村総研などの試算では対策をうたないと2030年には、ドライバー不足により30%の荷物が運べなくなるといわれています。
国土交通省では、貨物自動車運送事業法に基づく荷主等への働きかけや要請等による是正措置を行ってきました。2024年問題を目前にしてより強力な対応が必要であるとして、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で6月2日に取り決められた物流革新に向けた政策パッケージに基づく政策の一環として2023年7月21日(金)にトラックGメンが創出されました。現在の国土交通省及び地方運輸局の職員82名に加えて新たに選任で80名加わることにより合計162名の体制でトラックGメンが運営されます。下請Gメンが248名体制ですので、トラックGメンは約2/3の規模になります。
 

・トラックGメン創設
・物流革新に向けた政策パッケージ
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5.トラックGメンが実施すること
トラックGメンは、一言でいうと、荷主・元請運送事業者等への監視体制の緊急強化を行う職務を持っています。具体的には、トラックGメン自ら調査、訪問等を行い運送業者からの情報を収集するいわゆるプッシュ型の体制をとります。また、関連法令を管轄する厚生労働省、公正取引委員会、中小企業庁と連携し、下請法・物流特殊指定・独占禁止法に該当する優越的地位の濫用、原材料や労務費の値上がり分の価格転嫁を拒否するなどの買いたたき行為、契約した金額から委託代金を減額して支払う減額行為についても荷主・元請運送事業者への勧告の対象となります。
製造業や流通業などの荷主企業を管轄する経済産業省や農林水産省とも連携し、荷主・元請運送事業者を訪問することにより是正措置を促します。
 

・トラックGメン創設
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6.荷主・着荷主・元請運送事業者が注意しておくこと
まず、運送事業者へ行っている委託内容を可視化し、経営トップが分かる状況にしておいてください。そして、無理・無茶な委託内容になっていないかをチェックしていきます。その中で貨物運送事業法、標準約款、下請法、物流特殊指定、独占禁止法に照らし合わせて法令違反になっていないか、委託内容に少しグレーな部分があるがこのままでよいか等を1つずつ判断していきます。明らかな法令違反の委託をしている場合は、即刻、委託内容の見直し、改善を行います。グレーな部分で今すぐ委託内容を変更できない場合などは、専門家の意見を聞きながら、どのくらいの時間をかけて、どの程度まで変更するのかを判断して改善をしていきます。
特に、現在問題になっているのが、燃料費、労務費高騰による価格転嫁を受け入れているかどうか?についてです。100%受諾することが荷主の経営上、難しい場合はどこで折り合いをつけるかが重要になってきます。
 

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7.運送事業者が注意しておくこと
トラックGメンは、運送事業者に対して、荷主や元請運送事業者の委託状況に対する書面調査や聞き取り調査を行い、情報収集を行います。運送事業者が調査に応じて、採算の取れない低運賃で取引しているといった実態をトラックGメンに話した場合に、荷主から取引停止や取引縮小などの報復措置をとられないかが一番の心配かと考えます。実際の取引状況を誇張したり、言わなかったりするのはよい対応ではありません。ありのままの状況をトラックGメンに伝えるようにしましょう。Gメンには、情報収集に関する守秘義務があり、回答事業者の匿名性は確保されています。
多少、無理な取引を要求されてやっているけれども、長年の取引がありトラックGメンの調査に協力して、荷主に迷惑をかけられない。と思われている方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。過去に、公正取引委員会、中小企業庁、下請Gメンとの対応経験があり、貴社の状況を配慮した上での対応をアドバイスさせて頂きます。
 

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8.トラックGメン対応支援窓口の開設
運送業2024年問題と呼ばれる時間外労働規制スタートが2024年4月に迫っており、物流事業者単独では、どうすることもできない大きな問題について、国や国土交通省は荷主・着荷主を巻き込んで適正化を図り、物流業界全体を持続可能にしていこうという強い思いがこちら側に伝わってきます。
このようにトラックGメンを設置して、荷主や着荷主、元請物流事業者への立入検査や勧告、要請、働きかけをしていくのは、今回が初めてのことです。多くの荷主の方が、どのような対応をしたらよいのかわからない、立入検査の連絡がきたが何を準備しておけばよいのか、がわからず困惑しているといった問い合わせをうけています。
トラックGメン創設の発表をうけて、当事務所では、トラックGメン対応支援窓口を開設いたしました。荷主(含む着荷主)、元請運送事業者のいずれ側も対応可能ですので、ぜひ、お問い合わせをよろしくお願いします。
 

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9.トラックGメン対応支援窓口での実施内容
9-①.初回打合せの実施
トラックGメンが調査し、勧告・要請・働きかけを行う行為について具体的に説明をさせて頂きます。その後、当事務所が実施する適正化の内容をご紹介させて頂き、サポートを受けるかどうかを決定して頂ききます。初回打合せで当事務所のノウハウである、物流委託の適正化の部分を説明させて頂く為、有料にての打合せとなります。
9-②.委託内容適正化のコース
9-②-1.委託内容適正化フルパッケージ(6か月間コース)
初回診断では、当事務所が設定した約40項目の点検を受けて頂きます。その結果に基づいて6か月間の改善計画を策定し、その計画に基づいて改善及び書類関係の整備を行っていきます。4か月めに中間診断、6か月めに最終診断を行って改善状況を確認します。
 

9-②-2.委託内容適正化ショートパッケージ(4か月間コース)
上記のフルパッケージ(6か月間コース)を4か月間に短縮したコースです。中間チェックまで一緒に改善活動を実施し、その後は方向性をご提案させて頂いた上で、貴社内で最終の改善活動を行って頂きます。
 

9-②-3.トラックGメン立入検査対応(1.5~2か月コース)
トラックGメンの立入検査が通知された場合に、立入検査に備えて準備を行います。トラックGメンの調査内容に絞った短期間での確認及び改善実施のプランになります。
 

9-③.安全診断・5S診断(オプション)
トラックGメン現場診断にあわせて、当事務所独自チェックリストによる現場安全診断、5S診断も合わせて実施可能です。
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10.当事務所が選ばれる理由
当事務所は、代表が荷主の物流部及び物流会社で20年以上、法務を担当し、運送+倉庫、荷主+物流会社の両方の現場経験・知見を持っています。今回のトラックGメンを創設して国土交通省がめざす姿は、運送事業者と荷主企業がWIN-WINの関係を築くことです。そのために荷主企業の委託内容を可視化して、経営トップと一緒に改善を図ることができる日本でほとんど存在しない法務事務所です。法律の専門家+現場を熟知しているからこそ、最適の提案ができると考えています。
 

 

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11.Q&A
運送事業者ですが対応は可能ですか
トラックGメン対応支援は、物流委託する側である荷主、着荷主、元請物流事業者がその委託内容を見直して適正化していくことを支援させていただく内容になっています。ご相談だけであれば、トラックGメン緊急相談窓口をご利用ください。このお問い合わせフォームからでも相談可能です。
面談、打合せはオンラインでも可能ですか
Teams、Google Meets、Zoomでの打合せが可能です。ただし、現場診断、伝票・帳票類チェックは現場での確認となります。
大阪府以外ですが対応は可能ですか
全国対応可能です。ただし、貴社の現場をお伺いさせていただく際には、別途交通費実費を頂いております。交通費実費とは、新大阪駅を起点とした最も合理的な交通手段で、新幹線普通席正規料金を基準として他の交通手段もこれに準じています。交通事情により日帰り対応が難しい場合は1泊分の宿泊費を加算させていただきます。
複数の事業場での対応は可能ですか
もちろん大丈夫です。個別、お見積対応となります。
初回面談から有償なのはどうしてですか
トラックGメンに全般的に対応できる法律家がほとんどおらず、専門的な内容の一部を提供し、踏み込んだ対応になります。よって、初回面談より有償対応をさせていただいております。面談後、ご依頼いただいた際には、手付金扱いとして依頼料金に盛り込みますのでご安心ください。
弊社の都合で途中で終了した場合はどうなりますか
貴社都合で途中終了した場合は、100%料金のお支払いとなります。ただし、期間内に改善ができず期間延長等の場合は、個別に相談をして対応させていただきます。


12.お問い合わせ
トラックGメン対応支援窓口に関して、詳細を聞いてみたい、一緒に委託内容を可視化してグレーな部分を改善していきたいとお考えの企業は、お電話または下記のお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。

 

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13.お知らせ
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。