【コラム】送料無料に対する国の対応・新経済連盟の対応
全日本トラック協会が送料無料表示が輸送はコストがかからないという誤解を生じさせるとして、表示の見直しと消費者の理解に必要性を訴えました。また、全日本トラック協会が送料無料表示が輸送はコストがかからないという誤解を生じさせるとして、表示の見直しと消費者の理解に必要性を訴えました。また、物流革新に向けた政策パッケージ(2023年6月2日実施の我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議)において、送料無料表示の見直しに取り組むことが取りまとめられたことを受けて、ことにより、消費者庁が関係者に対して意見交換を行いました。
6月23日に行われた第1回の意見交換会では、全日本トラック協会から消費者庁に対して、送料は運送の対価として収受するものであり無料ではない。輸送にはコストがかからないという間違った考え方を植え付けることになる。として、送料無料の表現を使わずに、①送料は当社にて負担いたします。②送料は○○○円いただきます。③送料は別途負担いただきます。といった要請がなされました。
その後、消費者庁としても、これまで何とかやってこられたかもしれないが、持続可能な物流の実現のためには、私たちの意識や行動を変えていくことが必要との認識に立ち、こうした考えのもとで、消費者の意識改革や行動変容を促すとともに、運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていくよう、送料無料表示の見直しに取り組んでいくとしています。(消費者庁ホームページより)
8月9日に消費者庁による第2回意見交換会が行われ、今回は、アマゾン、ヤフー、メルカリ、カカクコム等18の企業が参加するアジアインターネット日本連盟(AICJ)が意見を述べました。前回の運送事業者側のトラック協会とは反対の立場である荷主の立場からの意見が出されました。AICJとしても2024年問題や再配達削減の必要性を消費者に理解を求めることに賛同し、政府広報に積極的に協力するとしています。
ただ、送料無料の表記については、理解を示すものの、消費者の行動変容の促進だけなのか、消費者への価格転嫁の促進まで行うのかによって、ネット通販事業者の姿勢も変わってくる。現実的な方向としては、消費者負担は無いものの、実際には物流事業者に対して運賃が別途支払われている旨の十分な説明を行うことが現実的な方向性として運送事業者側の主張を100%受け入れることが難しいとしています。
この意見交換会が行われた翌日の8月10日に楽天の三木谷浩史が代表理事を務める新経済連盟が送料無料表示の見直しに反対を表明しました。注文時に配送料の実費が確定できないため、送料込みなどの表示をすることが意味をなさないとしています。送料無料以外の別の表現への置き換えは困難で、当面は送料無料を継続して使用していきたい。送料無料の表示が原因で、運送事業者が適正な運賃や料金が収受できていない合理的な根拠がなく、別のところに問題があるのではないかとしています。しかしながら再配達が運送事業者への過度な負担となっていることは認識しており、再配達削減の行動変容を消費者に直接促していきたいとしています。
運送事業者と荷主とそれぞれ立場の違いがあり、送料無料の表現1つをとっても双方に大きな隔たりがあります。今後、意見交換会を通じて送料無料の表現をどのような扱いにしていくのかを決めていくことになります。
運送事業者の立場としては、送料無料表示の見直しも進めていかなければならないけれども、燃料費や人件費の値上がり分の価格転嫁を荷主企業に対して進めていく活動もしていかなければならないと思っています。
・2024年問題は宅配の問題ではない
・送料無料の表示をやめてほしい
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