【コラム】軽貨物の点呼はやらなくてもよい?
国土交通省が中心となって、貨物軽自動車運送事業適正化協議会にて軽貨物ドライバーの安全対策、労働環境の保護を進めています。2023年1月30日に第一回の会合が行われ、その後3回の会合が行われました。第3回の会合(12月26日)で軽貨物自動車の方向性が打ち出されました。安全対策に関しては、軽貨物乗車の事故増加を受けて、①安全管理者の専任と講習受講の義務付け、②適正診断の義務付け、③業務記録及び自己記録の保存義務付けといった内容が法制化される予定です。
今回残念でならなかった事は、軽貨物運送のドライバーに対して貨物自動車運送事業輸送安全規則7条で定められているこの義務が、個人事業主の軽貨物ドライバーには適用されなかったという点です。一般貨物の運送ドライバーは、乗務前に運行管理者による点呼を行い、アルコールチェック及び対面による健康状態のチェックが行われます。少しでも健康状態に不安がある場合は、当日の乗務をすることができません。
このように、一般貨物自動車運送事業では、乗務前の点呼により厳しいチェックが課されています。1台でも運行ができる介護タクシーでも乗務前の点呼及びアルコールチェックが必須になっています。なぜ軽貨物ドライバーだけこのようなチェックなしに運行することができるのでしょうか。
2023年5月23日のカーゴニュースの記事によると、軽貨物ドライバーの25%が点呼を実施しておらず、法令で定めている拘束時間や休憩時間などを遵守していない事業者が39%に上っているというデータがあります。
現在の軽貨物ドライバーは、アマゾンなどの大手通販業者との直接取引が40%、大手運送事業者の下請けが30%、マッチングアプリ等のサービス事業者が30%となっています。事故が発生した際に、荷主による違反原因行為があると回答したのが54%ありました。また、法律で定める法則時間で間に合わない。配達料を請け負ったとされる割合が40%、適正な運行では間に合わない当日着時間を指定されたと回答したのが27%ありました。
軽貨物ドライバーは、急増する宅配貨物の需要に答えてかなり無理をした勤務時間、乗務時間を行っています。今回の協議会での検討内容に軽貨物ドライバーの点呼義務が採用されなかった事は非常に残念です。極端な話を言うと、飲酒運転をしていても誰も咎めることがいないです。ここであまり触れたくないですが、昨今では合法大麻の成分が含まれたグミも販売されています。そのようなモノを摂取して、乗務に当たっても何も規制することができない状態です。一般貨物は絶対だめなのに、軽貨物では制度がないため、黙認されるということはあってはならないことです。早急に、制度の確立を求める次第です。
ページのトップに戻る
・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP
ページのトップに戻る
関連記事
・運送業開業マニュアル
・大阪で運送業許可を取得するまでの流れとは?許可が必要な場合や許可の要件も解説!
・利用運送開業マニュアル
・倉庫業開業マニュアル
・大阪で倉庫業登録(許可)を取得する流れをわかりやすく解説
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)
・物流特殊指定マニュアル
ページのトップに戻る
ページのトップに戻る