③物流情報(コンプライアンス)

トラックGメン創設


最終更新日 2023年11月27日


国土交通省は7月18日に、発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請運送事業者の監視を強化するため、2023年7月21日(金)にトラックGメンを創設することを発表しました。これは、岸田総理自らも出席し、肝いりで進められた我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議で6月2日に取り決められた物流革新に向けた政策パッケージに基づく政策の1つにあげられていた内容を具現化したものです。7月の創設時には、82名の国土交通省職員がGメンとして担当し、その後、新たに80名を緊急増員し、162名体制で情報収集や聞き取りを通して違反行為には是正措置を求めるとしています。
トラックドライバーは、低賃金や長時間労働により担い手不足といった課題があり、2024年問題と呼ばれる残業規制適用により人手不足で物流が滞る懸念があります。令和元年(2019年)に貨物運送事業法を改正し、長時間の荷待ちや契約にない附帯業務を強いる事業者に対して是正を行えるようにしています。これまでは、国土交通省の職員約80名が通常の仕事と兼任で行っていたため人手不足が課題となっていました。今回は職員を倍増させた上で、半数をトラックGメンとして専任で業務にあたるとしています。
もともとGメンとはGovernment Menの略語でFBIの特別捜査官を意味していました。日本では、麻薬Gメンに代表されるように、麻薬摘発などの特殊任務に当たる捜査官や、今回のトラックGメンなどのように組織や団体の不正摘発に当たる捜査官のことをGメンと呼びます。Gメンすべてが警察のように逮捕権限を持っている訳ではありませんが、公務員もしくはみなし公務員の扱いになりますので、トラックGメンの是正措置を無視して改善を行なわない場合には、法的措置がとられることになります。
トラックGメンと同じような組織として、2017年に中小企業庁によって創設された下請Gメンと呼ばれる組織があります。下請Gメンは下請法(下請代金支払遅延等防止法)に違反している企業の勧告・働きかけを行うとして年間2000社を訪問して情報収集を行っています。2022年からは、下請Gメンの人数を倍増し248名体制で1年間に1万社の実態調査を行っています。特に原材料費の高騰により、原材料費や労務費の上昇分を取り引き価格に反映できているか調べ、価格交渉に応じない企業や不当な価格で取り引きしている企業の適正化を行う組織として活躍しています。2022年度の下請法違反での勧告件数は6件、指導は8665件に上っています。
国土交通省も本格的に運送業界の待遇改善に動き出してきました。令和元年(2019年)に貨物運送事業法を改正し、荷主・着荷主に対して是正措置がとれるようになりましたが、人手不足により十分な調査ができておらず、この4年間で勧告・公表は0件、要請が4件、最も軽い働きかけが82件に留まっています。これを162名の専属体制のトラックGメンが行うことができれば、上記の下請法の件数までは、いかなくても相当数の荷主・着荷主及び元請物流事業者に指導のメスが入る可能性があります。

荷主や元請運送事業者で突然、トラックGメンの立入が入ったり、今から何か準備しておくことは何か?など、どのような対応をしたらよいかわからず、お困りの事業者も多くおられるかと思います。当事務所では、代表が下請法・物流特殊指定・独占禁止法の専門家として100カ所以上の現場診断、指導を行ってきています。トラックGメンの立入に備えて事前準備をしておきたい、どのような対応をしておけばよいのか教えてほしい等ございましたら当事務所までお問い合わせください。貴社の状況を教えていただいた上で、取るべき対応についてご提案させていただきます。

お知らせ

当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。