Gマーク(貨物自動車運送事業安全性評価制度)取得マニュアル


最終更新日 2024年4月20日



運送業を開始されて、3年を経過した運送事業者の皆様、Gマーク(貨物自動車運送事業安全性評価制度)を取得しましょう。Gマークを取得することにより様々なメリットがあります。ここではGマークとはどのような制度なのか、取得することでどんなメリットが得られるのか、取得手続きについて解説していきます。

【目次】

1.Gマークとは
2.Gマーク取得によるメリット
3.Gマーク取得の取得率について
4.Gマーク取得するための要件
5.Gマーク取得方法
6.Gマークの更新について
7.Gマーク申請は年1回
8.Gマーク申請は当事務所にお任せください
9.お知らせ

1.Gマークとは

Gマーク貼付のトラック
貨物運送業におけるGマークとは、運送業者が一定の基準を満たし、運送事業を行うことができることを示す認証マークのことをいいます。正式名称は貨物自動車運送事業安全性評価制度と呼ばれています。安全優良事業所認定証が発行され、トラックにGマークのステッカーを貼付することができます。現在、Gマークの認定は、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関である公益社団法人全日本トラック協会が行っています。

・Gマークのステッカーはどこで購入するのか
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2.Gマーク取得によるメリット

(1)制度として認められているメリット

番号 項目 内容
違反点数の消去 通常、3年間となっている違反点数の付与期間について、違反点数付与後2年間違反点数の付与がない場合、違反点数が消去されます。 
IT点呼の導入 対面点呼に変えて、国土交通大臣が定める設置型又は形態方のカメラを有する機器による営業所間での点呼が可能となります。
点呼の優遇 2拠点間を定時で運行する形態の場合の他の営業所における点呼、同一敷地内に所在するグループ企業間における点呼が承認されます。
補助要件の緩和 CNGトラック等に対する補助について、新車のみの導入に係る最低台数要件が1台に緩和(通常は3台)されます。
安全性優良事業所表彰  安全性優良事業所の認定を連続して10年以上取得しているなど、さらに一定の高いレベルにある事業所が表彰されます。
基準緩和自動車の有効期間の延長  基準緩和自動車が適切に運行されている場合、緩和の継続認定において、有効期間が最長4年間まで延長(通常は2年間)されます。
特殊車両通行許可の有効期間の延長  特殊車両の通行許可について、一定の要件を満たす優良事業所の場合、許可の有効期間が最長4年間まで延長(通常は2年間)されます。

 

(2)Gマーク取得による安全性向上のメリット

番号 項目 内容
事故発生件数の減少 国土交通省の統計によるとGマーク認定を受けた事業所は、受けていない事業所に比べて事故が2022年度は20%以下になっています。Gマーク認定を受けるためには、運転者への安全教育の実施など安全性向上への取り組みが必須である、運送事業者、ドライバーともに安全への意識が高まるため事故減少につながっています。
荷主からの信頼 Gマーク取得事業者は、優良なトラック運送事業者としての認識が広まっているため、荷主からの信頼を得ることができます。大手荷主の中には、Gマーク取得が新規取引の要件となっている企業もあり、Gマーク取得は大手荷主企業への参入、取引拡大につながります。
固定費の削減 損保会社や交通共済の一部では、Gマークを取得している事業者は事故が少ないため、運送賠償責任保険や自動車保険(任意保険)などで、独自の割引を設けています。Gマーク取得のための評価項目の1つである省エネ運転を行うことにより燃料費や修繕費の削減につながります。

 
<車両1万台当たりの事故発生件数 国土交通省資料より>

 

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3.Gマーク取得の取得率について

項目 割合 内容
会社数 20.6% 2021年3月時点で運送事業者は62,844社
事業所数(営業所数) 33.6% Gマークの認定事業所数は全体で29,044事業所
車両数 51.8%

2023年度(令和5年度)は、新規1,176事業所、更新8,313事業所となっています。
運送事業者62,844社のうち、21台以上トラックを保有する運送事業者は全体の24.4%です。21台以上、トラックを保有されている運送事業者はこの機会にGマークの取得を検討されたほうがいいです。
Gマーク制度は2003年(平成15年)に始まり、2023年(令和5年)で21年が経過しました。2003年から継続してGマークを取得している事業者が6回目の更新を行いその事業者の1,052事業所については、20年もの長きにわたり安全運行の実績を積み上げられたことから、長期認定事業所として、新たにデザインしたゴールドGマークステッカーを使用することができるようになりました。

・Gマークのステッカーはどこで購入するのか

 
<Gマーク認定事業者数の推移 国土交通省資料より>

 
<認定事業者における車両台数の推移 国土交通省資料より>

 

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4.Gマーク取得するための要件

Gマーク取得の要件

1.事業の開始から3年が経過していること

運輸開始届を提出してから3年が経過していることが条件になります。①トラック協会の巡回指導を1回もしくは2回受けていること、②事業概況報告書・事業実績報告書をそれぞれ2回以上提出していることが要件になっています。

2.事業用自動車が5台(5両)以上あること

一般貨物自動車運送事業を行うためには、最低5台以上のトラックが必要ですので、この要件は100%の事業者がクリアしているはずです。車両が5台を割るとすみやかに1台増車するによう指導されますので、5台(5両)の車両要件を満たさない運送事業者がありません。
 
3.①虚偽の申請等により申請の却下や評価の取り消し処分を受け場合、当該処分年度後から事業年度が2年経過していること
②不正申請により認定の取り消し処分を受けた事業所は、当該処分後に事業年度2年が経過していること
4.認定証や認定マーク・ステッカー等の偽造や変造、不正使用によって是非勧告を受けた場合、当該是非勧告の履行状況の確認、および偽変造等に係る認定証等の提出を受けた日から3年が経過していること
※3と4の項目は、当たり前のことです。初めてGマークを申請する事業者でこのような条件に該当する運送事業者はほぼいないと思います。
 

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5.Gマーク取得方法

Gマーク取得方法

番号 内容
定められた評価項目(100点満点)のうち、80点以上であること。
各評価項目において下記の基準を満たしていること。
安全性に対する法令の遵守状況が40点満点中32点以上。
事故や違反の状況に対する評価が40点満点中21点以上。
安全性に対する取り組みの積極性に対する評価が20点満点中12点以上。
法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること。
社会保険への加入が適正になされていること。

①安全性に対する法令の遵守状況

 安全性に対する法令の遵守状況は、トラック協会の巡回指導でチェックされる37項目+運輸安全マネジメント3点加算項目ができているかどうかです。Gマークを申請するとトラック協会の巡回指導を受けることになりますので、この項目をクリアーしておかなければなりません。

②事故や違反の状況に対する評価

全体で80点以上をとらなければならないので、この項目で40点満点に近い点数をとっていなければGマーク取得は難しいです。過失割合が第一当事者となるような重大事故をおこしたり、行政処分が1年以内にあった場合は、新規のGマーク取得を断念せざる負えなくなります。

③安全性に対する取り組みの積極性に対する評価

運送事業者が取り組んでいる内容についての評価項目になります。
①グリーン経営認証やISO9000、ISO14000の取得、②輸送の安全に関する表彰、③輸送の安全に関する自主的、積極的、独創的、先進的または高度な取り組みを実施している等の3項目はほとんどの事業者で実施されていない項目ですので、それ以外の項目で加点しておくことが有効です。
 

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6.Gマークの更新について


初めてGマークを取得された事業所(営業所)はその有効期限が2年間で2年後に更新を行わなければ失効してしまいます。1回目の更新審査にパスして更新を受けた事業所(営業所)は3年間有効、2回目以降の更新は4年ごとに行う必要があります。
今年度が更新年度に当たる場合は、4月中旬ごろに全日本トラック協会からGマーク更新のご案内のハガキが届きます。このハガキには①利用できる更新方式、②Gマークの認定番号、③Webで申請書を作成するときに必要なIDとパスワードが記載されていますので、絶対に紛失しないようにしてください。
 

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7.Gマーク申請は年1回

項目 時期
Web申請システム稼働
(申請書の作成ができる)
5月下旬
申請期間 7月1日から7月14日
結果通知 12月中旬

Gマークの申請は、年に1回(7月1日から7月14日)しかできません。今年申請のタイミングを逃してしまうと、1年間申請することができなくなります。遅くとも4月くらいから本年度のGマーク申請の準備を開始しましょう。もちろん、安全性に対する取組の実施は日々行っていることが前提で、それに関連する資料を4月くらいから作成していくスケジュールを立てましょう。
 

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8.Gマーク取得は当事務所にお任せください

Gマーク取得はお任せください
Gマークを初めて取得したい、更新を自社で行っていたがサポートしてほしい、過去にGマークを取得していたが失効してしまったので改めて取得したい。このようにGマークの取得を検討されておられる運送事業者の皆様は、ぜひ、行政書士 楠本浩一事務所にお問い合わせください。当事務所は、代表が20年以上運送業界で勤務し、運送業・物流業専門の行政書士事務所です。貴社の状況をヒアリングさせていただいた上で、Gマーク申請の書類の作成をサポートさせていただきます。Gマークを申請すると安全性に対する法令の遵守状況確認のために、トラック協会が巡回指導に来られます。この巡回指導の事前チェック全面的なサポートまで当事務所で行います。
 

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9.お知らせ

お知らせ⑤
当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。
 

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楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。