③物流情報(コンプライアンス)

トラックGメン躍動


最終更新日 2023年11月27日



岸田首相肝いりの我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議の中で発表された物流革新に向けた政策パッケージに盛り込まれたトラックGメンが2023年7月に発足しました。これまでは、国土交通省や各地方運輸局、運輸支局の職員が兼務というかたちでトラックGメンの職務を担っていたましたが、7月から選任の職員80名を新たに選任し、従来の職員82名にプラスして162名の体制でトラックGメンの活動を行っています。近畿運輸局の管内でも従来の8名に新たに9名加わり合計17名で毎日、職務に奮闘されておられます。


1.荷主勧告制度
そもそもトラックGメンの元となっているのは、平成29年(2017年)7月1日の貨物自動車運送事業法改正により第64条に追加された荷主への勧告に基づく活動になります。基準を超える拘束時間や過積載など運送事業者の違反行為があった場合で、荷主に起因する場合は荷主の関与を調査し、荷主の主体的な関与が認められる場合は荷主勧告、主体的ではないが荷主の関与があった場合には警告を発し、3年以内に同様の事案が再発した場合には荷主勧告が行える権限を国土交通省が持っています。これに基づいて国土交通省、運輸局の職員が物流事業者からの情報を元に、疑いのある時間について荷主企業を訪問して調査を行っていました。
 

・荷主配慮義務・荷主勧告制度(令和元年貨物自動車運送事業法の改正)

ページのトップに戻る


2.トラックGメンとは
2017年に下請法違反の事案を監視する下請Gメンが創設され、下請法違反事案の減少に大きな成果を上げています。トラックGメンはこの下請Gメンに倣ったかたちで活動を行っています。トラックGメンは、主に製造業や流通業といった荷主企業や元請運送事業者に対して、適正な物流取引を阻害するような疑いのある事案について調査し、貨物運送事業法に基づき、働きかけ要請を行います。また、荷主企業には、運送事業者に物流を委託する発荷主だけではなく、運送事業者が商品を運んだ納品先である着荷主も監視対象として、荷待ち時間や契約されていない附帯業務をトラックドライバーにさせていないかについてチェックします。
 

・トラックGメン対応支援窓口を開設しました

・トラックGメン創設
・トラックGメン緊急相談窓口開設
・トラックGメンの人員体制
ページのトップに戻る


3.発足後2か月間の活動状況
10月6日付で、トラックGメン躍動と称して国土交通省が発足2か月間の活動状況をプレリリースしています。それによると、令和2年度 働きかけ26件、令和3年度 働きかけ24件、令和4年度 要請3件、働きかけ26件と24から29件前後で推移していた活動の件数が、選任のGメン担当者を加えてこともあいまって、7月21日から9月30日までの約2か月間で要請5件、働きかけ120件を行うまでになっています。この数はあくまでも適正取引を阻害する疑いのある事案にかぎられていますので、トラックGメンが訪問し、調査した荷主企業はおそらく125件の倍から3倍は行っているのではないかと推測されます。発荷主企業や着荷主企業にとっては、いつトラックGメンの臨検が入るかわからない、といった状況で戦々恐々としています。
 

・トラックGメン対応支援窓口を開設しました

ページのトップに戻る


4.トラックGメンの今後の活動
①国土交通省が9月に違反原因行為の実態調査として全トラック事業者に対してトラック協会を通じで調査を行っています。その集計結果をもってトラックGメンが、問題行為を行っている疑いのある荷主企業を訪問し詳細の調査を行います。11月及び12月を集中監視月間と位置付け、悪質な荷主に対し、その状況に応じ、法に基づく働きかけ、要請、勧告・公表を行っていくとしています。
②10月からは、トラックGメン単独での活動に加えて都道府県労働局、地方経済産業局、地方農政局のメンバーも参加し合同で荷主企業に対してヒアリングを行っていきます。これにより貨物運送事業法の荷主勧告制度のみならず、労働基準法関連の事案でも荷主企業はチェックされることになります。
 

・トラックGメン対応支援窓口を開設しました

ページのトップに戻る


5.まとめ
国土交通省によるトラックGメンの活動がいかに本気であるかがわかると思います。物流業界の2024年問題といわれる時間外労働規制が来年4月から開始されるのを受け、物流クライシスを避け何としてでもソフトランディングをするという意気込みが感じられます。着荷主を含む荷主側の皆様も、トラックGメンの調査が行われる前に改善できる部分は改善しておくことが肝要です。当事務所では、トラックGメン対応支援窓口を設置し、荷主企業の方が、どこから手を付けていったらよいか、改善していく事項の整理やどうやって適正化していくかについて、アドバイスをさせていただいております。詳しくは、トラックGメン対応支援窓口をご参照ください。
 

・トラックGメン対応支援窓口を開設しました

ページのトップに戻る

6.お知らせ

当事務所は、運輸・物流専門の行政書士事務所として、貨物運送業・利用運送業(第一種・第二種)、軽貨物運送業の許可・認可及び倉庫業許可・登録を行っています。運送業・倉庫業に興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせをお願いいたします。許認可取得だけでなく、開業後の業務運営や運賃設定、運賃交渉のやり方、元請運送事業者の紹介、法律で定められた書類作成の支援などをサポートさせて頂きます。

・行政書士 楠本浩一事務所のホームページTOP

 

ページのトップに戻る

関連記事

・トラックGメン対応支援窓口を開設しました

・トラックGメン創設
・トラックGメン緊急相談窓口開設
・トラックGメンの人員体制
・荷主配慮義務・荷主勧告制度(令和元年貨物自動車運送事業法の改正)
・物流特殊指定マニュアル
・物流特殊指定事例集
・運送業コンプライアンスマニュアル(運送業2024年問題対応)
・物流2024年問題は何の法律(法令)のどこに書いてあるか

 

 

 

 

 

 
ページのトップに戻る

 

 

 

 

 

 

 
 


Generic selectors
完全一致検索
タイトルから検索
記事本文から検索
 お問い合わせ
contents
カテゴリー

楠本浩一

楠本浩一

1965年8月兵庫県神戸市生まれ。同志社大学卒業。パナソニック㈱及び日本通運との合弁会社であるパナソニック物流㈱(パナソニック52%、日本通運48%の合弁会社、現パナソニックオペレーショナルエクセレンス㈱)で20年以上物流法務を担当し、現場経験を踏んできた実績があります。